マーケティング | 住宅展示場では、夫(旦那)に家を売ってはいけない

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人は、売れている商品だと欲しくなる

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マーケティングいおいて、すべての出発点になるのは、「①何を」であることは理解できました。次に大切なのは、「②誰に」です。

良い商品を考えること、創り出すことが一番むずかしい。そのハードルをクリアできれば、いつかはお客さんに見つけて貰えて、売れるはずだ・・・。意外なことに、そんな考えを持つ人がたくさんいます。これは大きな誤解です。というか、間違いです。世の中には、良い商品を生み出しても、売れないケースは山ほどあります。簡単な事例で説明してみましょう。

たとえば、レンタルビデオ屋さんに足を運べば、たくさんの映画が並べられています。その中でも、ランキングに入っている映画は、ほんの一握りです。では借りられる映画、借りられない映画の違いは、どこから生まれるのでしょう。どの映画が面白いと思うかは、人によって、好みによってさまざまですから、絶対的な基準はありません。ただし、せっかくお金を出して借りるなら、自分が面白いと感じられる映画がいいに決まっています。

では、どう判断するのか。映画は、見てみなければわかりません。そこで、私たちが映画を借りる場合、特に初めて見る監督の作品を選ぶ際には、もちろん、「直感が頼り」という人もいるでしょうが、ランキングに入っていて、みんなが面白いと言っている、あるいは信頼できる有名人や知り合いが推薦しているなどを基準とすることが多くなります。

ランキングに入っている映画の中には面白い作品が多いことは、多くの人が経験的に理解しています。反論のある人もいるでしょうが、借りられているということは、それだけ多くの人が好印象を持ったということです。人は、初めての商品を買おうと思っても、その商品の価値がどれほどのものなのか、その情報を知りません。つまり、商品を提供する側と買う側とで、持っている情報に差があるということです。これを「情報の非対称」と言います。この情報の非対称がある場合に、価値の判定をしなければならない人、つまり何かを買おうとする人は、何かしらの「手がかり」が欲しくなります。

そこで、「混んでいる定食屋は美味しいのでは」「借りられている映画は面白いのでは」「価格の高いベッドは寝心地がいいのでは」など、「混んでいる、売れている、高い」などの手がかりをシグナルとして利用します。これを「シグナリング効果」と言います。だから世の中では、売れている商品は、さらに売れるようになるのです。ですから、新しいお客さんを獲得しようとするなら、優れた価値、ユニークな価値を顧客にアピールするようなシグナルは何かを考え、そのシグナルが拡がるよう、その方策を考えなくてはなりません。

では、「借りられていない映画は面白くないのか」というと、そんなことはまったくありません。借りられていない映画の中にも、あなたが面白いと思える映画はいくらでもあります。ただ見つけられないだけなのです。このように、実績の無い監督の作品は、どんなに面白くても、お客さんから見つけてもらいにくい、さらに、面白いと思ってもらうハードルが高くなるなるために、ランキングに入るのも難しいという理屈がわかります。

 

アクション映画の広告を、出してはいけない場所

どんなにいい作品でも、顧客(お客さん)にそのユニークな価値を認識されなければ、買ってもらえない。そのことについては、理解いただけたと思います。そこで、映画監督や制作会社は、作品の面白さを知ってもらおうと、映画祭に応募したり、テレビや雑誌に広告を出したり、有名人に観てもらって推薦をもらおうとするなど、さまざまなアプローチでプロモーション活動をします。

異論はあるでしょうが、映画も、「商品」です。つくる側、売る側がターゲットになる「顧客」を正しく認識できなければ、適切なアプローチはできません。極端な話になりますが、若者が好んで観るアクション映画の広告を、シニア向け旅行雑誌に出しても効果はほとんど期待できないでしょう。そんなことは制作会社も重々承知しているので、どんなユーザーが観るのかを考えたうえでプロモーション戦略を考えることになります。

このように、「③どうやって」のプロモーションなどのアプローチを考える前に、まず「②誰に」を突き詰めて考えなければ、適切なマーケティング戦略は考えることができないわけです。そんなこと、言われなくてもわかっている?いやいや、映画の広告のようにシンプルな事例は意外に少なく、知らず知らずのうちに、この「②誰に」を考える際に、間違いを犯している事例は世の中で数多く見かけます。

 

顧客(お客さん)には「2種類」ある

では、自分たちの商品にお金を出してくれるのは、どんなお客さんなのか、どういう行動をとるのか、どういう考え方を持っているのか・・・。ここを突き詰めて、適切なアプローチを考えていきます。

前にも説明したように、ピーター・ドラッカー博士は、企業のミッションは「顧客の創造である」と言いました。日本語で顧客と言うと、たんに「お客様」くらいの意味にしかなりませんが、英語では2つの意味に分けることができます。

ひとつは、まだあなたの会社の商品やサービスを買ったことがない人。英語で言うと、コンシューマー(consumerで、つまり消費者です。もうひとつは、すでに1回以上、あなたの商品やサービスを買ったり、利用したことがある人。いわゆる、お馴染みさんです。これを英語で言うと、カスタマー(customerで、これが顧客となります。

というわけで、日本語で説明すると少しややこしくなりそうなので、これからは英語も使いながら説明します。つまり、ドラッカーが言うところの「顧客の創造」とは、カスタマー(顧客)をどんどん創造的に増やしましょう、という意味になるのです。売り手側からすると、すでに自社の商品やサービスを体験してくれているカスタマーが続けて買ってくれたら、それが一番いいわけです。リピーターとファンを増やす、これが事業をするうえで、もっとも大事なことになります。

起業したばかりの社長、あるいは新規事業を立ち上げた場合などは、どうしても、新規顧客を取らなければなりません。けれども、コンシューマー(消費者)を取り込んでカスタマー(顧客)になってもらうこと、それは、マーケティングにおいて一番難しいことです。会社の名前も商品も知らない人に、自社の名前、商品とその価値、他社とどこが違うのか、それらすべてをゼロから伝えていかなければならないからです。だから、新会社、新規事業は、成功するためのハードルが高くなります。

一方で、カスタマー(顧客)に対しては、マーケティング的な努力が少なくてすみます。当たり前です。一度すでに買ってくれているわけですから、たいていは、商品名も会社名も知っています(この「たいていは」が後々、大切になりますので覚えておいてください)。つまり認知度を上げる必要があまりないので、広告や販売促進に注ぐ力をコンシューマー(消費者)に対するものより、大幅に減らすことができるのです。

 

顧客(お客さん)合ったプロモーションを行う

というわけで、一口にお客さんと言っても、いろいろな人がいますから、あらゆるお客さんに対して、一律に同じマーケティング活動を行うのは、たいへん非効率的です。

では、どのようなお客さんに、どのようなマーケティング活動をすれば効果が上がるのでしょうか。それには、2つの種類に分類するだけでは足りません。もう少し細かく、お客さんをコンシューマー(消費者)とカスタマー(顧客)だけでなく、4つのタイプに分けて考えてみるとわかりやすくなります。指標にするのは、「購買頻度」「購買時期」です。これをマトリックスで考えてみましょう。

まず、縦軸に「購買頻度」を取ります。上に行けばいくほど「よく買うお客さん」、下に行け行くほど「買わないお客さん」、一番下は「買ったことがないお客さん」です。次に、横軸に「購買時期」を取ります。右に行けば行くほど「購買時期が最近」、左に行けば行くほど「購買時期が古い」ということです。これをざっくり見ていくと、当たり前ですが4つのタイプに分類されます。それぞれ見ていきましょう。

住宅展示場では、夫(旦那)に家を売ってはいけない

左の下に位置づけられている人は、「①難しい顧客」です。これは、「昔は買ったけれども、購入頻度が低い人」、あるいは、「これまで一度も買ったことがない人」です。ここに分類されるタイプが一番アプローチするのが難しいと言えます。一生懸命取りに行こうと頑張っても、なかなか結果が出ません。ビジネスで苦戦している会社や人は、多くの場合、「新規顧客を獲得しなければ」と、この結果が出にくい、難しいお客さんばかりを取りに行って悪戦苦闘しています。

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次に、その真逆、右の上の人、「②ありがたい顧客」です。この人は、「最近買ってくれていて、しかもよく買ってくれる人」。ここは、あなたの会社の、あるいはあなたの会社の商品のファンです。優良顧客、もっと言えばVIP、この人たちはもっとも大切なお客さんです。ですから、このタイプの顧客には、おもてなしの戦略、ホスピタリティ・マネジメントが重要になります。たとえば、感謝の気持ちを込めて割引クーポンを出す、といったことをすると有効です。安定した商売をする会社や人は、必ず、このVIPを大切にしています。

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今度は左上の「③ご無沙汰な顧客」です。こういう人は、「昔はよく買ってくれたけれど、最近はあまり買ってくれない人」。ここは、もう一度掘り起こす必要があります。買ってくれなくなる一番の原因は、お客さんに忘れられてしまっているということです。このタイプの顧客には、新しい「価値」を提供して、自社の商品を思い出してもらうのが有効です。飲食店であれば、「新メニュー登場!」とか、季節が変わったら「かき氷やってます」「あったかい鍋、始めました!」といったことをお知らせする。新しい価値を伝えることで、一度は遠のいてしまったお客さんに再び買ってもらえるように促すのです。

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最後に、右の下、「④将来有望な顧客」です。これは、「最近買ったけれど、頻度が少ない人」、あるいは、「最近買ったけれど、まだリピートしていない人」。このタイプの顧客には、再来店を促したいわけですから、有効な手段としては、「この前はありがとうございました」というサンキューレターを送ることです。鉄は熱いうちに打てと言いますから、お客さんが自社の商品を買ったことを忘れないうちに出す。そして、クーポンなどを差し上げて、「またうちのお店に来ると、いいことがありますよ」と伝えていくわけです。このように、お客さんのタイプを分析することで、そのお客さんに一番合ったプロモーションをすることができるようになるわけです。

 

「おもてなしの心」の基本は、ビッグデータ分析

インターネット通販最大手のアマゾンでは、お客さんの分析を大規模なシステムを使って行っています。たとえば、アマゾンで一度買い物をすると、購入商品と関連したおすすめ商品を紹介してくれるメールが届きます。これを「推薦機能」「レコメンデーション」と言います。

たとえば、アマゾンで書籍を買うと、以前購入した書籍の著者の新刊が出ると、必ずメールで教えてくれます。また、購入したことのある書籍の次回作が出るときは「予約しますか?」というメールが来ることもあります。その内容もタイミングも、驚くほど的確です。これは、購入履歴をもとに、このお客さんは今までに何を買ったのか、いつ買ったのか、いくら使ったのか、といった大量のデータをまとめて、「協調フィルタリング」という高度なシステムを使って瞬時に割り出しているのです。

このように、膨大なデータを集めて分析することで、お客さん一人の状況に応じたマーケティング活動をすることを「ビッグデータ分析」と言います。最近、かなり流行っている言葉なので、耳にしたこともあるでしょう。ビッグデータといっても、お客さんの分析は、アマゾンのように大規模なシステムを組まなければできないわけではありません。その「考え方」を使っていけばいいだけです。話はシンプルです。自社の顧客が、何を、いつ、いくら買ってくれたのかを、顧客台帳につけておけばいいのです。

この顧客台帳、パソコンを用いればかなり効率的に管理できるようになります。これも、やみくもにデータベース化するのではなく、先に説明したマトリックスに合わせるように、いくつかのキーポイントを軸に分析するのがいいと思います。そのキーポイントは、たったの3つです。

①いつ、②どれくらいの頻度で、③いくら使ったのか 

これだけを管理すればいいわけです。この、「いつ、どれくらい、いくら使ったか」をもとにお客さんを分析する方法をRFM分析」と言います。Rは、「最新の購買日(Recency)」、これはいつ買ったのか、です。Fは、「購買頻度(Frequency)」、つまり何回買ったのか。そしてMは、「購買金額(Monetary)」、いくら使ったのか、です。

これら3つの指標を組み合わせることで、お客さんが自社に対してどのような購買行動をとっているのかを把握することができるわけです。そうすることで、一番いいタイミングで、そのお客さんに合ったプロモーションができるようになるのです。

 

「未来のお客さん=あなたの商品を買ってくれるお客さん」のプロフィールを妄想してみる

ビジネスにおいては、自社の商品を一度買ってくれたカスタマー(顧客)を、リピーターにすることが重要です。しかし、もちろん、新規客に買ってもらわないことには、事業を継続的に成長させることはできません。では、まだ見ぬ顧客、これから買っていただきたい顧客、つまりコンシューマー(消費者)に出会うためには、どうしたらいいのか。新規顧客獲得のための手法として、「ペルソナ・マーケティング」というものがあります。

ペルソナとは、もともと「仮面」を意味する言葉で、マーケティングにおいては、自社の商品やサービスのターゲットとなる「想定人物像」のことを言います。これは、プロフィールを詳細に設定した1人のモデルを作り、そのモデルを具体的にイメージすることで、「この人なら何を考えるか?」「何をしたら喜んでもらえるか?」といったことを、そのモデルの目線で考えられるようにするのです。

このペルソナ・マーケティング、言葉だけ見ると、難しそうな印象を持つかもしれませんが、売れる商品企画、広告企画などを実践している人や組織は、ほとんど商品ターゲットとなる「想定人物像」を具体的にイメージしています。そうやって思考や行動を推測することで、その人にもっとも響く表現やメッセージを、もっとも効果的な媒体を使って打つことが可能になります。広告やキャンペーン、販売促進などが効率的にできるようになるわけです。また、社内で共通の認識が得られるというメリットもあります。

ペルソナの詳細なプロフィールを共有すれば、企画開発、営業、宣伝、広報といった商品に携わる多部署の担当者全員が、共通のイメージを持つことができます。そのため、議論や意思決定がスムーズにできるわけです。組織が大きい場合、たとえば、営業部員が200人いる大組織だとしたら、バラバラのイメージを想定していると、営業トークが顧客(お客さん)の心に刺さりません。社内の意思統一を図る意味でも、具体的なペルソナの共有は有効な手段なのです。

 

住宅展示場では、夫(旦那)に家を売ってはいけない

では、実際にペルソナをどうやってつくっていけばいいのでしょうか。ある住宅販売メーカーが行った成功事例をもとに、考えます。

その住宅販売メーカー、ハウスパレス(仮名)は、新婚カップルではなく(既に子供がいる)ファミリー層をターゲットに住宅販売を手がけています。ですから、住宅展示場を訪れる9割のお客さんは子供連れです。そんなわけで、2人目・3人目の出産が落ち着いたタイミングで、多くのお客さんが住宅を購入します。

これまで当社は、毎年定期的に、新聞折込チラシを2~3万枚も配布していました。A3二つ折りの大きな紙面の表裏全面に、ビッシリと各住宅の画像を並べていました。けれども、あまり効果がなく、売れ行きは芳(かんば)しくありませんでした。

ここで、「ファミリー向けの住宅」のターゲット顧客は誰かを考えます。チラシを見たり、住宅展示場へ行ったりして、「こんな家に住みたいな~」と言うのは、一家の大黒柱を夢見る夫(旦那)です。でも実際に、夫(旦那)が仕事に出かけている間に家事や育児をし、最終的な了承を得なければいけないのは、たいていは妻(奥さん)です。使い手と買い手、ユーザーとバイヤーが違うわけです。

最終的にその商品を買うかどうかを決める人、その商品を買うためにお金を出す人がそれぞれ違う、というケースは、家庭に限ったことではありません。あなたもいくつか心当たりがあるでしょう。ですから、全ての商品で「その商品を買うためにお金を出す人」にアプローチをすれば良いというわけではないのです。

ファミリー層向けの住宅を売る場合で言えば、つくるべきペルソナは、「小さい子供が動き回ってもまったく心配する必要が無く、毎日の家事や育児を快適に行いたいと思っている妻(奥さん)」です。その妻(奥さん)のプロフィールを詳細に設定し、人物像を具体的な「1人」に絞り込んでいきます。

 

顧客(お客さん)の「行動」や「思考」の根底にある「本音」を見極める

では、「1人」の顧客(お客さん)をどうやって具体的な人物に落とし込めばいいのでしょうか。これは4つの側面から考えていきます。顧客(お客さん)のペルソナについて、まず考えるのが、性別、年齢、職業といった人口統計学的な側面です。これは、シンプルですね。

その次に、地域です。どこに住んでいるのか、どこで働いているのか、といった地理的な特性を設定します。これも、絶対的な事実があるので、そう難しくはありません。そして、考えてもらいたいこと、残りの2つです。これらがペルソナをつくるうえで、もっとも大切なものです。

ひとつは、ライフスタイル。どんな生活を送っているのか、普段どんな行動をするのか、ということです。もうひとつは、生き方や価値観です。何を大事に思っているのか、どんなことに重きを置くのか、という心理的なことです。このライフスタイルと価値観は、現在のマーケティングにおいて、もっとも重要視されているものです。多様なライフスタイル、価値観を持つ顧客(お客さん)に響く商品やサービスを生み出すためには、人口統計学的なもの、地理的なものといった「表面的なもの」の分析だけではなく、生活や行動、心理や思考などの洞察が大切だと考えられるようになったからです。

このような、顧客(お客さん)の行動や思考の根底にあるもの、いわば「顧客(お客さん)の本音」のことを、マーケティング用語で「コンシューマー・インサイト」と言います。ここまでを整理すると、それぞれ、

①性別、年齢、職業といった人口統計学的なこと=デモグラフィック
②住んでいる場所、勤めているエリアなど、地理的なこと=ジオグラフィック
③普段の行動、ライフスタイル=ビヘイヴィア
④価値観や生き方に対する考え方、心理的な状況=サイコグラフィック

となります。このデモ、ジオ、ビヘイヴィア、サイコの4つをそれぞれ設定することで、顧客(お客さん)のイメージを具体的に形づくっていくわけです。この4つの側面を明快に定義し、「顧客の本音(コンシューマー・インサイト)」に迫ることができれば、具体的な人物像が明らかになり、ペルソナをかぶった顧客(お客さん)の「中の顔」がはっきりと見えるようになるのです。

ちなみに、この具体的な顧客像、あるいは顧客の本音は、製品開発をする際にも、できる開発者は頭にイメージしています。具体的にイメージできる「1人」の顧客(お客さん)が買ってくれないような商品は、他に誰も買ってくれないからです。さらに多くの人に買ってもらう場合も、やはり漠然とした顧客像ではなく、個別具体的な「1人」を定義することによって、売り方を考えるステップのプロセスとするのが重要です。

 

「浮気しない人が好きです」を真に受けない

では、具体例で見てみましょう。たとえば、お見合いマッチングサイトの会員登録(女性会員)のターゲット顧客です。

東京都内に住み、昼は丸の内のオフィスで働く20代後半の女性、美容関連の会社でマネージャーを務め、寿退社を夢見ている・・・。このように、イメージをふくらませます。そして個別の人物像が浮かび上がったら、彼女がどんな生活を送り、どんな考え方をし、何を好むのかを想像します。休日にはジムへ通いながら映画館で1人で映画を観るのを好み、ランチには自分で作った弁当を持参することもあって、仕事も大切だが、自分の趣味にかける時間も大切にする・・・。

このように、「顧客の本音」、インサイトも深く追求するのですが、気をつけなければいけないのは、顧客自身も自分の「本音」に気づいていないかもしれないことです。このお見合いマッチングサイトへの会員登録のターゲット顧客を対象に、「結婚相手に求めることは何ですか?」と聞くと、けっこうな割合の人が「私は、浮気をしない優しくて誠実な人ですね」と答えたとしましょう。でも、これがタテマエだとしたら、どうですか。

以前にも、顧客(お客さん)の声に耳を傾けすぎてはいけないと書きましたが、この顧客(お客さん)のタテマエの答えを真に受けることがあるから、その後の戦略で間違えてしまうわけです。人は何か質問をされると、自分がどう答えると、相手にどんな印象を与えるかを気にして、本音を口にしないことがあります。テレビの街頭インタビューで、政治や経済の問題について答えている人を見かけますが、彼らが自分の意見を答えていても、本当に彼らの意見かは、怪しい部分もあります。

つまり、他人の目を気にした人は、どう答えれば自分が格好良く見えるか、スマートに見えるかを想像しながら答える傾向があるというわけです。このお見合いマッチングサイトのターゲット顧客の例で言えば、「浮気をしない優しくて誠実な人が好き」と答えた人は、ひょっとすると、「本音では、収入多ければ性格は多少合わなくても我慢できるけどね」と思っているかもしれないと注意する必要もあります。

ただし、ここで止まっていてはいけません。実は、本音では「男は浮気するのが当たり前」だと思っている人も、潜在意識では「私のことをもっと大切にして欲しい」と思っているのに、そのこと自体に本人が気づいていない場合があるからです。これが自分でも忘れた欲求、隠れた本音です。商品やサービスを売る側の人は、顧客(お客さん)の潜在意識が何かを一生懸命に考え、隠れた本音に応えるような商品、サービスを提供します。すると、「ああ、そういえば、これが欲しかったんだ!」と喜ばれることになります。

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あなたの理想のお客さん(顧客)をイメージする

では話を戻して、アクション映画のレンタルビデオショップの店長の事例に当てはめて、ターゲット顧客の設定をどう行うのかを見てみましょう。

まずは、デモグラフィックから始めます。性別は、アクション映画ですから一般的には「男性」です。年齢は27歳。たった1人のコンシューマー像(消費者像)をつくる場合、年齢も1歳単位で決めます。職業はプログラマー。休日も自宅ではパソコン前に座っていることが多く、半年前から健康に気をつかいジムへ通い出しました。

次は、ジオグラフィックです。これは、レンタルビデオ屋さんへは徒歩5分程しか離れていない近隣住民です。そして、ビヘイヴィア、ライフスタイルです。これは事細かに想像して、リアルに設定する必要があります。たとえば、平日週5日間は、朝10時から夜18時30分まで、会社でプログラミングの仕事。仕事が終わると特に寄り道もせずにそのまま帰宅し、夕食のほとんどはコンビニ弁当。夜、シャワーを浴びた後はYouTubeでアニメを見たり、フェイスブックやツイッターでネット仲間と交流したりします。週末には、一人でカラオケに出かけたり、映画を複数本借りてきて一日中映画鑑賞に時間を費やします。

このように、生活のシーンを想像して、細部を設定していくのです。そして最後に、サイコグラフィック、その人の価値観を想定します。この場合は、アクション映画を観る“彼”の立場に立って考えます。

たとえば、「ストーリーはそれ程気にしないけど、豪快なアクションシーンがたくさんなければあまり魅力を感じない」と考えるのか、あるいは、「とにかくストーリー性を重視する。無名な俳優しか出演していない作品でもストーリーが面白ければ次回作も是非借りてみたい」と考えるのか、ということです。この価値観のとらえ方の違いによって、こちらの取る戦略がまったく違ってきます。「アクションシーンを多く見たい」という人には、動画や画像を中心にアピールをすればいいわけですが、後者の「面白いストーリーを楽しみたい」という人には、内容のストーリー性を文章で表さなければいけません。ここをどう設定するか。これが一番重要なポイントです。

顧客(お客さん)の価値観をどのように設定するかは、商売(ビジネス)の方向性を決めるうえで、大きな分岐点となります。なぜなら、「顧客の価値観」の設定は、自然に導かれるものではないからです。商品やサービスを提供するの主観によって、「決め」なければならないものです。どういう人が買うかを「決め」ることは、つまり、どんな人に買ってもらいたいか、どんな人に顧客(お客さん)になってもらいたいのかを、自らの意思で設定したということでもあります。「顧客の本音」ベースで考えても、心の底から、映画を観て楽しい・ワクワクした時間を過ごしてもらいたい、ということになります。この意思決定が、その後の売り方の選択、戦略を大きく左右することになるのです。

 

アクション映画を観てもらうには、フィットネスジムに行く

さあ、こうして話題のアクション映画を観るお客さんを想定したペルソナが出来上がりました。そしてその後は、出来上がったペルソナからある仮説を立てます。

・・・アクションシーンを多く見たいという価値観を持つお客さんというのは、きっと日頃から何かしらのストレスを抱えているに違いない。ストレスを抱えている会社員なら、休日は必ずストレス解消も込めた行動を取っているだろう。では、彼らは、週末、どうやってストレス解消をしているのだろうか?カラオケ?2chへの書き込み?お酒?一番は何だろう?うーん・・・。フィットネスジムだ!プログラマーだと日頃は運動不足にもなるからきっとそういう施設を利用しているはずだ。

そう考えたレンタルビデオショップの店長は、実際に近所のフィットネスジムに足を運びました。フィットネスジムに行って一人で汗を流し、他の利用者にはどういう客層の人たちがいるのか、ジムで汗を流した人たちはどういう行動を取るのかを観察したのです。この営業マンの行動は、マーケティングの観点から考えても、とても理にかなっています。ターゲットの顧客について観察する際には、必ずその顧客(お客さん)がいる「現場」に足を運びます。

顧客(お客さん)がどのような人たちなのかを体感するためには、絶対に、その人たちがいる場所に行かなければなりません。雑誌やインターネットなどで顧客(お客さん)の情報を集めようとする人が多いですが、そこで得られた情報はあくまでバーチャルな顧客像、想像の産物でしかありません。もちろん、想像力を働かせることが必要な局面はあるのですが、それでは十分ではないのです。

メーカーなどでも、直接採集ユーザーと向き合うことがない場合、卸や小売りのバイヤーを「顧客」だと勘違いすることもけっこうあります。これも大きな間違いです。「最終ユーザー」というくらいですから、商品に最終的にお金を払ってくれる人、利用してくれる人、使ってくれる人が「顧客(お客さん)」となります。その顧客(お客さん)がどういう人かを知らなければ、正しい商品を考えることも、売り方の戦略を練ることもできません。

 

キーパーソンはアンバサダーとインフルエンサー

こうして、フィットネスジムにまで出かけたレンタルビデオショップの店長が考えたのが、「宅配レンタル」という仕掛けでした。これはどういうものかというと、まず、ジム内ののキーパーソンになる人に宅配レンタル用紙を渡します。この用紙には、10人まで名前を記入することができて、10人集まれば、その全員がフィットネスジム内の受付カウンターでレンタルした映画の受け取りや返却ができるというものです。

このとき、店長がキーパーソンの存在を重要視したのが注目すべきポイントです。宅配レンタルの際に中心となって、その情報をジム内の人たちにクチコミで広めてくれる人物です。キーパーソンに向くタイプの人は、ひとつは、これまでに自分の店で映画を借りてくれたことがあって、とても満足している顧客(お客さん)、いわば自社のファン。もうひとつは、周囲に影響力がある人、他人の行動を動かせる人です。これも、以下のようなマトリックスにして考えてみましょう。

住宅展示場では、夫(旦那)に家を売ってはいけない

「ファンの度合い」を縦軸にとります。上に行けば行くほど、ファンの度合いが強い人、下に行けば行くほど、ファンの度合いが低い人です。横軸に「影響力」を取ります。右に行けば行くほど影響力が強い人。左に行けば行くほど影響力のない人です。そうすると、一番上の一番右に来る人、この人はファンであり、かつ影響力も強い人です。こういう人をキーパーソンとして重視します。

このように、ファンの度合いが強く、商品やサービスの魅力をその企業になり代わって広めてくれる存在を、マーケティング用語で「アンバサダー(Ambassador)」と言います。このアンバサダーを日本語に訳すると「大使」という意味です。よく芸能人などが、生まれ故郷の「観光大使」としてその土地の魅力をアピールしていますが、その「大使」と同じ意味だと覚えればいいでしょう。

また、他人の購買行動に影響を与える存在を「インフルエンサー(Influencer)」と言います。たとえば、有名なブロガーなどが自らのブログで「おすすめの商品を使ってみた!」などと紹介すると、売り上げが急にアップしたりしますが、インフルエンサーとは、そのブロガーのような存在のことです。

こうしてレンタルビデオショップの宅配レンタルの仕組みは、このアンバサダーであり、さらにインフルエンサーでもあるキーパーソンのクチコミであっという間に広まりました。

 

大人をターゲットにした駄菓子屋さん

このように、顧客(お客さん)の特性をしっかり認識して適切な戦略を考えた事例がある一方で、市場が縮小している産業の場合は、ターゲットとなる顧客(お客さん)そのものをとらえ直す方策もあります。先に新規顧客をターゲットするのは難しいと書きましたが、市場そのものが縮小している場合は、新たな市場を開拓しなければいけません。ここで、もうひとつ事例を紹介しましょう。

上記でも説明したように、市場が縮小している産業のひとつが、駄菓子屋です。一昔前であればターゲットは「子ども」でした。しかし近年、そのターゲットとなる子ども達のお菓子を買いに行く場所はコンビニやスーパーマーケットへと移り変わっています。ですから、お菓子のターゲットを「子ども」に限定していては、ビジネスが立ち行かなくなってしまったのです。

そこで、別のターゲットを開拓しようとしたのが、東京の西日暮里に古くからある駄菓子屋さんです。この駄菓子屋は、戦後まもなくできたやみ市が発端で、高度成長期にもっとも賑わいを見せましたが、今では週4日・午前中だけ、ひっそりと営業を行っているだけの小さな昔ながらの駄菓子屋さんです。

この駄菓子屋では、昔からの仕入先のコネを生かして、これまで仕入れていたお菓子の量を約5倍に増やし、単品での販売ではなくすべての商品を「大人買い専門」の箱売りのみへと切り替えました。そして、営業時間も週4日・午前中のみではなく、平日の夕方から深夜のみへと変更しました。ですから、この駄菓子屋でお菓子を買うのは、子どもではなく、部活帰りの高校生、会社帰りのサラリーマンやOLです。いわば、甘い物好きの大人にターゲットを変えたのです。

ここでも、以前説明したように、自らの事業領域、ドメインから離れずに、新たな顧客(お客さん)の開拓に成功しています。駄菓子の新たな「価値」を見つけて、自らの強みを活かせています。この駄菓子屋さん、定期的にテレビや新聞でも取り上げられ、今やちょっとした観光名所にもなっています。

 

すべての商品やサービスには寿命がある

ここでもうひとつ、違った切り口で、顧客(お客さん)を分類する方法を考えます。それは、商品のサイクルと、顧客(お客さん)の購買態度との関係から分類する方法です。

新商品を世の中に出すと、市場に浸透していくにつれて売り上げが伸び、次第に売り上げのピークを迎え、徐々に衰退していくというプロセスを踏むことになります。このような商品の市場でのプロセスを、人の一生になぞらえて「プロダクト(製品)・ライフサイクル」と言います。これは、一般に、次の4つの段階で考えられます。

①導入期・・・発売してすぐの段階
②成長期・・・世の中に広めていく段階
③成熟期・・・定着してピークを迎える段階
④衰退期・・・売り上げが落ちていく段階

それぞれの段階ごとに、マーケティング的な戦略が違ってくるのです。この各段階を横軸にとって、縦軸に売り上げと利益をとると、一般的に下の図のようになります。

住宅展示場では、夫(旦那)に家を売ってはいけない

たとえば、発売当初の「導入期」は、顧客(お客さん)に商品が出たことを認識してもらわなければいけません。認知度を上げるために、広告をたくさん打ったり、トライアルで買ってもらうための販売促進をしたりします。そして、次第に商品が認知され、リピート客が増えてくる「成長期」は、商品の価値を広める広報宣伝活動をして顧客(お客さん)の理解度のアップに努めたり、参入してきた競合との差別化を押し出したりしていきます。この段階が、一番利益があげられます。そしてピークである「成熟期」は、需要が頭打ちとなり、売り上げが停滞してくる時期です。競争が激化し、シェアの奪い合いで価格競争に陥る可能性があり、利益が下がってきますので、対応する戦略が必要になります。さらに、売り上げが低下していく「衰退期」には、市場から上手に撤退する方法を考える必要があります。

このライフサイクルは、すべての商品やサービスが同じプロセスとなるわけではありません。長期間にわたって定番商品になりうる食品などと、テクノロジーの進化によって次々に新商品が開発されるIT関連機器とでは、各段階の期間など、状況がまったく違います。

 

最先端の商品やサービスにお金を払うのは100人中23

このプロダクト・ライフサイクルを知ったうえで、新しい商品に対する顧客(お客さん)の購入態度も、人によっていろいろであることを理解しなくてはいけません。これは先ほどインフルエンサーの説明とも深く関係しますが、新商品が出ると、すぐに飛びつく顧客(お客さん)もいれば、周囲が使い始めて定着してからでないと買わないという顧客(お客さん)もいます。中には、「えっ、今ごろ買うの?」という人もいます。

アメリカの社会学者のエベレット・M・ロジャースは、このような、新しい商品やサービスに対する消費者の購入態度を早い順から5つのタイプに分類し、説明しています。これを「イノベーター理論」と言います。

まず、新商品をいの一番に買うタイプです。これを「イノベーター(Innovators:革新者)」と言います。冒険的で、商品の目新しさのみに注目し、他の人に先駆けて採用する人々。こういう消費者が市場全体の2.5%ほどいるとあります。

そして、イノベーターの次に新商品を買う人々を「アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)」と言います。この人たちは、流行に敏感で、常にアンテナをはって新しい情報を収集し、自らの判断で商品を購入する人々です。アーリーアダプターは、新しい価値、実用性といった面に着目して購入を検討するため、他の消費者への影響力が大きく、この層の人々の反応によって、市場に浸透するかどうかが左右されると考えられています。こういう人たちは、市場全体の13.5%くらいいるとされています。

3番目は、「アーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)」です。新商品購入に対して慎重ではあるものの、「アーリーアダプター」の影響を受けて、全体の平均よりは比較的早く購入する人々。この層が全体の34%を占めています。

その次は、「レイトマジョリティ(Late Majority:後期多数採用者)」です。その商品が市場に浸透し、ピークを迎えたあとで、「周りのみんなが使っているから」という確証が得られてから購入する人々です。この層も市場全体の34%を構成します。

そして最後が、「ラガード(Laggards:遅滞者)」です。最も保守的で、流行やトレンドに関心の無い人々です。その商品やサービスが世の中に当たり前のもののように定着し、一般化するまで採用しない、もしくは最後まで採用しない層です。こういう人たちが市場全体の16%くらいいるとされています。

 

アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)とアーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)の「溝」を埋めることができた時に、「ヒット商品」が生まれる

この5つのタイプの人々を具体的商品にあてはめると、それぞれ、どのように理解できるのか。わかりやすくするために、iPadの発売時を例に考えてみましょう。

まず、日本で発売になる前に海外から情報を集めてきて、ブログなどに書いて情報を発信、発売日には徹夜してアップルストアに並ぶ人。こういう人は「イノベーター」です。次に、初期ロットを買う人々。発売日にアップルストアに並ぶほどではないけれど、ネットや雑誌、イノベーターからしっかり情報収集を行って、早い段階で予約購入をする人々です。こういう人たちは「アーリーアダプター」でしょう。次の「アーリーマジョリティ」は、周囲の人たちが買うまで様子をうかがっているようなタイプの人たちですから、アップルストアに人が大勢詰めかけているのを見たり、ネットや雑誌で取り上げられ、ブームが盛り上がっているのを見たりしてから、「みんなが買っているなら、買おうかな」と考えるタイプの人たちだと言えます。

ここまでのイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティまでの構成比率を先ほどの割合から合計すると、全体のちょうど50%、半数になります。「レイトマジョリティ」は、iPadが一般に定着し、大多数の人々が使っていて、その価値が十分に確認できてから買おうと思っている人たちです。「ラガード」は、この例で言えば、今現在、iPadをまだ購入していない人たちだと言うことができます。

なぜ、プロダクト(製品)・ライフサイクルとイノベーター理論を理解する必要があるのかというと、現在、自社の商品がライフサイクルのどの位置にあるのか、顧客(お客さん)がどのタイプなのかを把握することで、取るべきマーケティングの手法がわかるからです。新商品を発売したばかりの導入期であれば、いかに早くイノベーターとアーリーアダプターをつかまえて、アーリーマジョリティへと広げられるかがポイントになります。特にアーリーマジョリティを取り込まなければ、ヒット商品にはなりませんから、ここをどう攻略するかがポイントになります。

この点についても、アメリカのマーケティング・コンサルタントであるジェフリー・ムーアという人物が、特にハイテク商品のイノベーター理論に関して説明しています。彼によると、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に大きな溝(キャズム)があり、ここを乗り越えられるかどうかが、製品の普及の度合いの分かれ目になっていると説明しています。

 

イノベーター(Innovators:革新者)=オタクな人?

イノベーター理論では、「アーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)」は「アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)」に影響されることが大きいとされています。これは、「イノベーター(Innovators:革新者)」と「アーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)」とのコミュニケーションがあまりないからと考えられています。

となると、できるだけ多くの「アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)」に普及させて、そこから多くの「アーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)」に商品の良さや価値に関する情報を広げてもらわなければなりません。ですから、それに合わせた戦略が必要になるわけです。では、もう少し身近な人たちを想像できるように説明してみます。

新商品、新技術が発売されて、いち早く飛びつく人は一般の人からは、マニアックな人、場合によってはオタクな人とされているかもしれません。この人たちが買っているのを目にしても、「まあ、あの人はマニアだからね」というわけで、あまり広がりがありません。しかも、こういうマニアな顧客(お客さん)は、自ら情報を求めて新商品に気づいてくれる代わりに、新しい商品、新しい技術に関する情報も「超敏感」な人たち同士と交わすことが多そうです。

一方で、仲間内で、「あの人は流行を取り入れるのが早いよね」「新しいことをよく知っているよね」とされる「ちょっと敏感」な人たちは、ごく一般的な流行感覚を持つ人に対して、「これから、これが流行るんだよ」とか、「えっ、まだそれ使っているの?」といった情報を提供することによって、商品を普及させてくれます。ですから、プロダクト(製品)・ライフサイクルにおける導入期などに、この「ちょっと敏感」な「アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)」の人たちに、いかに広く商品を知ってもらい、そこから情報をどう広げてもらうかがヒットのカギとなるわけです。

その際に重要なのは、ちょっと敏感な人たちに響くよう、商品の「価値」をわかりやすいメッセージにすることです。何が新しいのか、どこが珍しいのか、どう優れているのか、これを「アーリーマジョリティ(Early Majority:初期多数採用者)」に伝えやすい言葉として商品に乗せてあげるのです。このように、顧客(お客さん)に対して最適なプロモーションを最適なタイミングで実施する。そのために、プロダクト(製品)・ライフサイクルと普及プロセスの分析が重要になってくるわけです。

 

自分の商品やサービスを使ってくれるのは「誰なのか」を、立体的に考える

商品を売る際には、「誰に」を考えることはとても大切です。

では、ここで一つおさらいをしましょう。まず、あなたが売りたい商品「①何を」は、どういう顧客(お客さん)、つまり「②誰に」価値を提供できるのか、喜ばれるのか、ターゲットを明らかにします。どんな商品をつくりたいか、売りたいかを考える時点で、すでに顧客(お客さん)の潜在的な欲求は頭にあるはずですから、これを具体的な「③どうやって」という戦略に落とし込む際のプロセスとして、「誰に」をより具体的なイメージとします。

そのために、「1人」の顧客(お客さん)のイメージをはっきり定める。そして、自分の商品が、プロダクト(製品)・ライフサイクルのどの時点にあるのかを見定めたうえで、より広く普及させたい段階なら、自分の商品を喜んでくれる「ちょっと敏感の顧客(お客さん)」が誰なのかをイメージさせます。

さらに、個別具体的な「1人の顧客(お客さん)」と「ちょっと敏感な顧客(お客さん)」を重ね合わせ、ターゲットに響く価値をどうわかりやすいメッセージにすればいいのかを考えます。このような立体的な思考で、自分が販売する商品は誰が喜んでくれるのだろう?を徹底的に詰めていくことが大切です。そして、ターゲットとして固まった「誰に」に届く、商品の「価値」、メッセージをどう伝えていくのか、これが「③どうやって」ということになります。

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