マーケティング | あなたが売っている商品、今のままでは誰も買ってくれません!

2014年の企業倒産件数は約1万件!!あなたのお店や会社、今のままでは”潰れます”




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市場にいる「プレイヤー」を理解する

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さて、「何を、誰に、どうやって」のステップを理解したうえで、ここからは実際に作成を立案する際に、どんなことに注意しなければいけないのか、いろいろな思考ツール、プロセスを紹介していきます。

ビジネスは、対戦スポーツに似た面があります。プロ野球チーム、またそこに所属する選手たちは、競技力を向上させようとして過酷なトレーニングに励みますが、それだけでは十分ではありません。対戦相手、さらには自分たちの長所と弱点をしっかり把握したうえで、どのような対策をとるのか、そこまで考えなければ処理することができないわけです。これは、ビジネスの世界も同じです。

これまで、「何を、誰に、どうやって」売るのか、その考え方や実践方法について考えてきました。しかし、これを身につけただけでは、売れるようにはなりません。マーケティング戦略を立てる以前に、大前提としてやっておかなければならないことがあるのです。それはいったい何でしょうか。

自分たち(自分)を取り巻く環境、現状を客観的に分析し、把握する。この大前提をクリアしておけば、ライバルとの競争に勝てたり、あるいは不要な競争を避けられたりと、自分たちの独自の価値を一番届けたいターゲットにきちんと提供しやすくなります。要するに「売る」ことを成功に導けるわけです。

私たちがビジネスを展開する「市場」には、3種類のプレーヤーがいるとされています。

・顧客(Customer
・競合(Competitor
・自社(Company

これらのプレーヤーをそれぞれ分析することで、課題を洗い出し、成功要因を導き出す。このプロセスを、3つのプレーヤーの頭文字を取って3C分析」と呼びます。

まず、顧客(相手)はどうなのか。商売にとって、よく「お客様は神様」と言われます。最後にお金を出してくれる人が存在しなければ、そもそも市場自体が成立しません。自分たち(自分)が売りたい商品は、どのような人が買っているのかそのニーズは何かを考えていくわけです。その際、顕在化したニーズだけでなく、潜在的なニーズまで掘り下げる必要があります。これは前の記事でも説明した通りです。

そして競合、つまり競争相手、ライバルです。競合と同じものでかつあらゆる面で劣った商品を世に出したら、当然、顧客(お客さん)に選んではもらえません。だから、何かが違うどこかが優れている商品を投入するためにも、競合と自社(自分たち)とを顧客目線(相手の目線)で比べて、自社(自分たち)が優位に立っている点劣っている点をリストアップして、しっかりと認識する必要があります。

さらに自社(自分たち)についてです。自社(自分たち)のブランドや資産は何かなどを考えていきます。自社(自分たち)の持つ独自の強み、USPは何か。いかに自社独自の価値を顧客(お客さん)に提供できるか。それらをしっかり考えて戦略を組み立てていくわけです。

※「USP」の言葉の意味が解らない場合は、こちらの記事を参考にして下さい。
→【お客さんには、「唐揚げ弁当」を勧めましょう

■もうワンステップ上を目指してみる!!

・現在インターネットビジネスの世界は、「成熟期」に突入しており、「売り方」を工夫しなければ売れない時代へと突入しています。そんな中、海外の進んだマーケティングを上手く自分たちのビジネスに取り入れる事により、驚異的な販売実績や収入を叩き出している人たちがいます。その人たちが行っている販売手法とは、一体どのような方法だと思いますか?

 

負けない為には、自分(あなた)が勝てる土俵で戦う

3種類のプレーヤーについて理解できたと仮定して、この3種類のプレーヤーを織り込んで、どんな作戦を考えれば良いのかアイデアが浮かばないという人もいると思います。では、ここでマーケティング活動をするための代表的な手法を説明します。フィリップ・コトラーが提唱しているSTPというものです。これは3つのステップを踏むことになります。

①市場を顧客(相手)のニーズによって細分化する「Segmentation
②細分化した市場のうち、競合(ライバル)より優位な自社の強みを活かせるターゲット(相手)を明確にする「Targeting
③顧客(相手)に価値を提供できるポジションに自社(自分)を置く「Positioning

この3つのステップの頭文字からSTPと呼ばれます。このプロセス、抽象的で何がなにやらと思われるといけないので、シンプルに説明します。

たとえば、これをギフト市場に進出したケースで考えてみましょう。贈り物をすることによって、相手から喜ばれたい顧客(ある人)がいます。その顧客(人)の年代や性別に加えて、どんなふうにその人は喜ばれたいのか、そこをじっくりと細かく分類します。すると、その中に、「センスが良いものを贈ってくれた」と思われたい顧客(ある人)がいました。その顧客(ある人)のプレゼントをする相手に日本酒ファンが、けっこういそうです。ここに照準を定めます。

ある程度の市場規模があり、なおかつ収益を上げられると判断できたら、そこで、ギフトとして、○○でつくったお米で醸したという希少性をセールスポイントに勝負する事に決めました。どうでしょうか。このプロセスを覚えやすいように整理すると、

分けてみて、大事なところを探し、そこで自分たちの立ち位置を決めて、顧客(相手)の価値を高める。

このようになります。「S、T、Pの順番どおりに考えられるほど、市場は理路整然とはしていない」とか、「顧客ニーズ(相手のニーズ)が複雑に絡み合っているのだから、それほど簡単には市場を細分化できない」などと思うでしょうが、シンプルな考え方でなければ、実際のビジネスにはなかなか使えません。それに、この手法をきっかけに、さらに深く考えていくと、「顧客(お客さん)とは何か」「競合、ライバルとは何か」という3C分析にまた違った視点が得られるようになるのです。

 

缶コーヒーの競合は他社の缶コーヒーではなく、お客さん(相手)のニーズを満たす世の中の商品すべて

ここでもう一度3C分析の話に戻ります。

私たちは、「顧客(お客さん)」という言葉を聞くと、「自分たちが提供する商品やサービスにお金を出してくれる人、あるいは出してくれるかもしれない人」を思い浮かべます。これは、ほぼ間違いないでしょう。

一方で、「競合」と耳にすると、「同業他社」、あるいは同種の商品(同じような商品)を連想しがちです。これも、もちろん間違いではありませんが、正解というわけでもありません。そして、ここに3C分析で陥りがちな罠が仕掛けられています。顧客(お客さん)が商品やサービスにお金を出す際に期待するのは、機能ではなく価値です。この点から考えれば、市場における競合は、必ずしも同業他社、同種の商品だけではないことがわかります。

ギフト市場で、「センスが良いものを贈ってくれた」と思われたいということに価値を見いだす顧客(お客さん)をターゲットとして勝負をしようとする場合、それこそ競合はギフト商品を提供するあらゆる売り手が競争相手となります。他のメーカーがつくる同じようなギフト商品だけが競合ではありません。

このように、3C分析するにも、徹底した顧客目線(相手の目線)でその人が求める価値を踏まえて、本当の競合は誰か、自分は何を提供できるのかを追及しなければなりません。ここをしっかり詰めないと、顧客(お客さん)でない顧客(お客さん)をターゲットにしてしまう、競合(ライバル)でない競合(ライバル)と戦ってしまう自分たちの本当の「強み」を見失ってしまう、ということが起きてしまいます。

 

「機会」と「脅威」を見極める事により、自分達の「強み」と「弱み」が見えてくる

強みの話をしたところで、もうひとつ、マーケティングの有名な分析手法を説明しましょう。

企業や商品を分析する際によく用いられる手法にSWOT分析」というものがあります。こちらも、いろいろなところで紹介されているので、耳にしたこともあるかもしれません。ここでいうSWOTとは、次の4つの単語の頭文字からなります。

・強み(Strength
・弱み(Weakness
・機会(Opportunity
・脅威(Threat

強みと弱みは、文字通り自社(自分達)の強み、弱みのことで、企業規模やブランドイメージ、商品力など、自社(自分達)の内部環境によるものです。したがって、自社(自分達)の努力で強化、改善していくことができます。

一方、機会と脅威は、経済、政治、法規制など、自分達ではどうにもできない、自社(自分達)を取り巻く外部環境によるものです。こちらは、少し突っ込んで考えてみましょう。たとえば、ひとつの会社ではどうすることもできない外国為替を例にとってみます。

たとえば円高になると、輸入品が円安時に比べて低いコストで買うことができるようになるため、海外からの輸入雑貨を扱うセレクトショップや、輸入食材を原材料に使う外食産業などにとっては、円高になることにより、仕入れコストが下がり、収益を上げるチャンスが広がります。ですから、これらの企業にとっては、円高は「機会」になります。

一方で、円高になると自動車製造業などの輸出産業は、海外で自分達に有利な価格設定をすることが難しくなります。すると、グローバルな競争力が低下する傾向になり、当然、円高はこれらの企業にとっては「脅威」となるのです。

他にも機会と脅威には、「スマホ(スマートフォン)でゲームをする人が増えている」が、ソーシャルゲームにとっては「機会」となり、ゲームセンター(アーケード)にとっては「脅威」になるなど、いろいろな外部環境がそれぞれの会社にとって考えられるでしょう。こうして見ると、機会とは、市場を拡大させる要因、または拡大する市場そのもの。また、脅威とは、市場を縮小させる要因、または縮小する市場そのものと考えることが出来ます。この中で、自社(自分達)はどういう強み、弱みがあるのでしょうか。

 

自社(自分達)の「強み」と「弱み」を考えることが、差別化戦略に繋がる

強み、弱み、機会、脅威・・・。この4つのポイントを2×2のマトリックスにして、それぞれの戦略を練る「クロスSWOTという考え方を説明します。この分析手法では、縦軸に「強み」と「弱み」、横軸に「機会」と「脅威」を置きます。下記の図を参考にしてください。

あなたが売っている商品、あなたなら買いますか!?

これを見ると、左上は、自社(自分達)の強みがあってなおかつ機会もある、ということになります。自社(自分達)の強みを活かして、機会を最大限に利用するにはどうしたらいいか。ここはやはり、積極的な攻勢に出たほうがいいでしょう。

次に、右上、自社(自分達)の強みがあって脅威もあるところです。ここは、自社(自分達)としては強いのですが、市場が縮小していくかもしれないところです。そうすると、需要が減っていくわけですから、「他社(他の人)とはここが違うんです」ということをしっかりと打ち出していく。要するに、差別化戦略をとっていく必要があります。

次に、左下、機会はあるけれども自社(自分達)が弱い、というところ。自社(自分達)の弱みによって、せっかくの機会を取りこぼさないためにはどうしたら良いのか。ここは、段階的な施策を打っていく。市場が伸びている中であっても、強みを持っている企業に勝つのは非常に難しいことです。ですので、小さく生んで大きく育てていく必要があります。

最後に、右下、自社(自分達)が弱く、脅威もあるところです。自社(自分達)が弱くて市場が縮小している、リスクが高いところです。ここは、想定される最悪の事態を避けるにはどうすべきかを考えて、撤退、あるいは防衛していかなければいけません。

このように、4つのポイントから議題を洗い出し、いかに自社(自分達)の強みを活かして機会をとらえ、弱みを克服しつつ脅威を取り除くのか。その戦略を導き出していくのです。ただし、このSWOT分析、またマトリックスにおいても、強み、弱みをそのまま受け容れてしまうより、「本当にそうなのか」と突っ込んで考える必要もあります。

たとえば、先に説明したレンタルビデオショップは、従業員が3名だけの企業規模がとても小さなお店(会社)です。戦略を考える際、要因が足りないことは普通はこれを「弱み」ととらえるのですが、このレンタルビデオショップは、逆転の発想で、その規模の小ささを、小回りの利く「強み」ととらえ、3人でなければできないこと3人だからこそできることを徹底的に考えました。

その強みを活かして、独創性のあるチラシをつくり、きめ細かなサービスを提供するという独自のスタンスに行きついたのです。このように、「常識で考えれば・・・」という呪縛から離れることが、特に競合が強い場合には必要になってくるでしょう。

 

「スターバックスで売ってるコーヒー」「マクドナルドで売っているコーヒー」「コンビニで売ってるコーヒー」は何が違うのか?

3C分析やSWOT分析を使って戦略を練る際に、自社(自分達)と競合(ライバル)とはどこが違うのか、その差異点を洗い出す作業をすることがあります。なぜなら、差異点、つまり「違い」は「強み」の源泉になるからです。

ところが、これだけモノやサービス、さらには情報がいつでも手に入る競争過多の時代になってくると、「違い」をつくり出せるポイントをリストアップしましょうと言われても、なかなか難しいのが現状です。製品の内容にしろ、価格にしろ、「違い」をつくっても、すぐに競合から追随される、表現を変えればマネされることが多いからです。ですから、この場合は、差異点と同時に「類似点」も一緒に出していくことが必要になります。

スターバックスの例で考えて見ましょう。競合となるのは、同業のカフェチェーンだけではありません。この場合、コーヒーを提供しているということでは、①マクドナルド、②コンビニ、さらに③街の喫茶店、この3つを考えてみます。

まず、マクドナルド。スターバックスとの類似点は、ブランドがあること、店内でくつろいで飲めること、差異点は、スターバックスはイメージがお洒落、静かでリラックスできるスペースで味わえる、といったところです。

次にコンビニコーヒーです。類似点は、店舗が多く便利なこと、本格的なコーヒーを味わえること。差異点は、スターバックスはゆったりと静かに飲めるスペースがあり商品のラインナップが豊富なこと、ブランドがあることです。

最後に街の喫茶店です。類似点は、ゆったり静かに飲めるスペースがあり、質の高いサービス。差異点は店舗数が少なく利便性に欠けることです。

ここから話を発展させて顧客(お客さん)が「コーヒーを飲みたい」という場合、多くの選択肢がある中でスターバックスを選ぶ理由は、「店舗が多く利便性が高い店が良いけれど、本格的でかつゆっくり静かに、お洒落な空間でコーヒーを飲みたい」ということになります。

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「違い」を見つけるためには「似ている」ところを探す

ここで注目すべきは、ひとつの商品やサービスが提供できる「価値」には、複数の側面があるということです。

私たちは、「強み」という言葉を聞くと、どうしても絶対的に優れている単独のポイントを連想してしまいます。しばしば口にされるセリフに、「弱みを直すより強みを伸ばせ」という言葉があります。これには正しい側面もありますが、1点の強みを伸ばして顧客(お客さん)にメッセージとして伝えても、顧客(お客さん)は価値を「総合的」に判断しますから、それだけをもって選んでもらえるとは限りません。

テレビ番組で、「店は汚いけれども、とびきり美味しい料理店」が紹介され、話題になることがあります。これは、よほど珍しいから、あるいは店主のキャラが立っていて番組的に面白いからなど、特殊な要因があるからテレビに出られるのであって、料理店は清潔で、落ち着くほうが顧客(お客さん)からは好まれる確立も高まります。

美味しい料理を提供することは、外食業にとっての大前提となりますが、顧客(お客さん)は食事をすることによって、「美味しい」と感じたいだけでなく、リラックスしたい、雰囲気を楽しみたい、新しいものに触れたいなど、さまざまな価値を求めます。ですから、市場でユニークな価値を提供する存在になりたい場合、ひとつの絶対的なポイントだけを売りにするのではなく、数多くの提供可能な価値の組み合わせによっても、独自の強みを手に入れることはできるのです。これは、スターバックスの例を見ても、わかりやすいと思います。

このように、自社(自分達)が新しくできること、「違いを」つくれるポイントを明確にするには、競合(ライバル)との類似点と差異点を考えられるだけ洗い出して、それを把握、比較することが一番の近道になります。

 

有名ブランドや長く支持されているブランドには、人と同じ「個性」がある

ドラッカーは、「事業を定義するには、顧客(相手)を知れ。事業は顧客(相手)によって定義される」という主旨のことを述べています。これは、顧客(相手)が本当に欲しいものを提供できていますか?顧客(相手)が想像していなかったもの、期待を超えるようなものをちゃんと世の中に出していますか?という意味なのでしょう。

顧客(相手)の期待を超えるものを提供するというのは、それこそ「違い」を生み出すことにつながっていくのですが、これはとても難しいことです。では、どう考えれば良いのでしょうか。ここで、ひとつの考え方です。差別化よりも、独自化を考える。

差別化とは、競争が激しい市場において、自社(自分達)の商品やサービスを競合よりも少しでも優れたものにしようとすることです。一方、独自化とは、他社がまだやっていないことを市場に出していくことです。これはハードルが高いように思えて、知恵と工夫次第で、いろいろな方法が考えられます。以前の記事で紹介したイノベーションによって、ブルー・オーシャンを見つけるというのは、その良い見本です。

これは、新規分野へ進出しましょう!と言っているわけではありません。自らの事業領域(ドメイン)から遠く離れることなく、自分達だけが持つ独自の価値を顧客(相手)に提供していくことが大切なのです。そのとき、その独自の価値を物語風にドラマチックに顧客(相手)に伝えていくことが望まれます。

人それぞれ個性があるのと同じように、ブランドが持つ個性を擬人化することを「ブランド・パーソナリティ」と言います。ブランドにも、誠実、刺激、能力、洗練、素朴などのパーソナリティがあるのです。

たとえば、フランスのバッグブランドの「ルイ・ヴィトン」と聞いただけで、知っている人は、優雅な、高級感のあるといった印象が自然と浮かびます。また、「miumiu(ミュウミュウ)※プラダの姉妹ブランド」と聞くと、フェミニンで可愛らしい印象を持ちます。他にも、いろいろなブランドを思い浮かべて、そのパーソナリティをイメージしてみてください。きっと、有名なブランド、長く続いているブランドには、何かしら人間の個性のようなものが印象としてあるはずです。

ブランドとは、人間性、パーソナリティを持って独り立ちしていったときに、その価値がわかるものなのです。その個性、独自性をストーリーで伝えることが、どうすればできるのかを懸命に考えなければなりません。

 

「量的なリサーチ」と「質的なリサーチ」で顧客(相手)の心理をリサーチする

さて、こうしたさまざまな分析をする際には、どうしても「調査」が必要な局面が出てきます。マーケティング戦略を立てていると、たいていの場合は疑問点や課題が浮上します。そうした疑問を明らかにするため、あるいは判断材料とするために、市場に対してリサーチを行うことがあります。これまで、安易なリサーチはいけないと説明してきましたが、やはり避けては通ることができません。ですから次に、マーケティングのリサーチ方法について説明します。

ここでひとつ気をつけるべきなのは、「何が課題か、疑問かはよくわらないけれど、まずはリサーチしてみましょう!」という「リサーチありき」の考え方はダメだという事です。リサーチとは、自社(自分達)の商品やサービスに課題があって、それを解決するために行うものです。仮説を立て、リサーチを行い、ひとつひとつ検証して課題をクリアしていくわけです。それなのに、課題も仮説も具体的ではなく、「とりあえずリサーチ」というのでは、本末転倒です。リサーチを行う前に、なぜそれが必要なのか、その目的をまずはチェックする必要があります。

市場リサーチの方法は、リサーチで得られる情報の種類から、大きく2つに分けることができます。ひとつは量的なリサーチ、もうひとつは質的なリサーチです。

量的なリサーチとは、数字的なリサーチ、つまり、数値を使って表すための調査です。調査結果が数字で表せるので、客観性があり、全体を把握しやすいのが特徴です。たとえば、試供品を使ってもらって、「これを買おうと思いますか?」と質問すると、それに対する回答は、「①はい50%、②いいえ30%、③わからない20%」のように数値として表現することができます。

一方の質的なリサーチは、数値では表せない、感覚的なものを調べていく調査です。それにより、同答者の本音やニュアンスを引き出すことが可能になります。これも同じ試供品を使ってもらって、「これを使ってみて、何を感じましたか?」といった質問をすると、感想を聞くことができます。

マーケティング・リサーチにおいては、このように必要な状況に応じて質問し、データを集めていくのも大きな役割なのです。

 

「満足した点」ではなく「疑問点や不満な点」を積極的に調査する

では、これら2種類のリサーチを実際にはどのように行うのでしょうか。マーケティング戦略として、新たに広告キャンペーンを行う場合、広告デザインなどの、いわゆるクリエイティブをゼロからつくっていくことになります。ここで、効果の薄い広告を展開してしまうと、多額のコストがムダになってしまいます。そこで、事前にリサーチを行って、広告が顧客(相手)にどのように受け取られるかをしっかり調べるわけです。

たとえば、あなたが有名海外自動車メーカー「F社」で働いているとして、自社のブランドマネージャーだとします。シェアを拡大させるため、新たな広告キャンペーンを展開することになりました。そこで、新しい広告デザインをつくり込んでいくわけですが、市場で広めたいブランドイメージを試作広告として具体化したうえで、「この広告を全国展開していったら、競合商品の愛好者の1割はF社へスイッチしてくれる」という仮説を立てたとします。そこで、これを検証するために、まずは質的なリサーチを行います。

リサーチにおいて、質問に答えてくれる人達を「サンプル」と言います。このサンプルの人達に新しい広告デザインを見てもらい、それぞれの感想を聞き取ります。「デザインがかっこいい」「ロゴの黄色い色が強すぎる」など、いろいろな意見を集めます。さらに、この広告を全国展開した場合、車をスイッチしてくれる顧客(人達)はどれくらいになるのかを調べるために、量的なリサーチを行います。

新しい広告作品を、競合の愛好者1,000人くらいのサンプルに見せてアンケートを取ってみます。質問の答えは選択式で、「はい」「いいえ」などで答えられるものです。そこで、「F社の車にスイッチする」と答えた人が50人だったら、スイッチ率は5%という数値で表せるということになります。

そして、質的、量的リサーチの結果をもとに仮説を検証し、より精度の高いプロモーション活動をできるようにするわけです。顧客(相手)の本音を知るためにリサーチや分析を行い、その中から顧客(相手)が本当に欲しいと思うものを見つけ出す・・・。文章にすると、簡単ですが、これを実際にやるとなると、それはとても難しいことです。

リサーチをして、得られたデータに惑わされるかもしれません。前にも説明したように、顧客(お客さん)はいつも本当のことを話してくれるとは限らないからです。しかし、「本当の答え」も顧客(お客さん)の中にしかありません。やはり迷ったり、困ったりしたら、顧客(お客さん)に聞かなければいけません。その場合に、ひとつコツがあります。顧客(相手)を自分の仮説に誘導してはいけないということです。さらに、質的な聞き方をすることによって、顧客(相手)の本音を探ってみるのです。

たとえば、顧客(相手)の満足度について、「うちの店のサービスに満足していますか?」と面と向かって質問されたら、たいていの人は「はい」としか答えることができません。ですから、不満足な点、いやだなと思ったことを聞いてみる。そうすれば、顧客(相手)は本音を答えやすくなるはずです。

時々、飲食店やタクシーでも、「不満に思われた点があれば、お書きください」というアンケート用紙を用意している場合があります。これも、従業員を規律づけるだけでなく、顧客(相手)の本音を聞き出すことによってサービスを向上させる、つまり持続的イノベーションに結びつけられるという側面があるからです。

 

顧客目線(相手の目線)を手に入れる一番簡単な方法は、自分自身で自社(自分達)の商品を買ってみること

何しろ、顧客(相手)の本心、本音に迫らなければ、顧客目線(相手の目線)でものを考えることはできません。しかし、そうは言っても、これがなかなか難しい。ではどうすれば良いのか?2つヒントがあります。

ひとつは、顧客(お客さん)になりきること。売り手と買い手というのは、時と場合によっての分け方なだけであって、売り手も立場を変えれば、常に顧客(お客さん)の立場を持っているわけです。ですから、自分が顧客(お客さん)になりきって疑似体験してみましょう。これは、トヨタ自動車で言うところの「現地現物」に近い面もあります。現場に行って現物を自分の目で見て、自分で考えるということです。

先に、優秀なマーケターは、常に顧客(お客さん)が行きそうなところに、自分で直に行って体験すると説明しました。レンタルビデオショップの店長が、フィットネスジムに行って、その様子を見たことで、宅配レンタルという仕掛けを思いついたのが好例でした。

デモグラフィックとジオグラフィック、人口統計学的なことと地理的なことは、情報からわかりますが、ビヘイヴィア(行動)、サイコグラフィック(価値観)、インサイト(本音)は、自分で実際に見に行って体験しないとわかりません。

先に例で説明したブランドマネージャーの場合、「海外有名自動車メーカーのF社」の主なターゲットは、30代前半~40代後半の男性で、年収2,400万円以上の人でした。このデモグラフィックとジオグラフィックの面だけでは、最大の競合ブランド「M社」とどうしてもかぶってしまいます。

そこで、ターゲットの顧客(お客さん)は、どんな行動をして、どんなことを大事にしているのか、実際に彼らが集うところに見に行って、自分の目で見つけてみることが重要です。青山や六本木のショールームへ行ったり、深夜のクラブやライブハウスで観察したりすることも必要かもしれません。すると、競合ブランドの車に乗っている人はシングルの人が多く、F社のユーザーは、助手席に女性を乗せている人が多いな、ということがわかったわけです。そうすることで、頭の中に顧客像がしっかり造形され、かつ競合の愛好者との「違い」もよくわかって、「どうやって」売るのかを考えたときに、彼らに一番刺さる表現、一番伝わる媒体が思い浮かぶようになるわけです。

先の例でも紹介した、アマゾン等のウェブショッピングの場合でも同じです。アマゾンはウェブのショッピングサイトですから、F社のときのように、現場へ行って観察することはできません。顧客(相手)に「買っているところを見せてください」ということは難しい。ですから、自分達で実際に買ってみるわけです。競合の楽天、ヤフーで買ってみるのと同時に、自社(自分達)でも買ってみる。すると、自社(自分達)にはなくて競合にあるもの、逆に競合にはなくて自社(自分達)にはあるものが発見できます。

いずれにしても、顧客(相手)の本音と価値観を見つけるのは大変なことです。ですから、ここでの提案は、顧客(相手)の一日の行動を想定して書き込めるワークシートを作成すると良いと思います。朝起きたら何をするのか、読んでいる新聞・雑誌、好きなテレビ番組、趣味など、事細かに具体的に書き込んでいくのです。そうすれば、顧客像(相手の姿)を想定しやすくなると思います。

 

「不毛な競争」をしない。迷ったら「原点」に返ってみる

顧客目線(相手の目線)になるためのもうひとつのヒントは、迷ったら「原点に返ってみる」ということです。そもそも自分のやりたかったことは何なのか、その目的や商品の必要性、存在意義などについて、原点に立ち返って考えてみるのです。

ビジネスをしていて、競争が過剰になり、売り上げが不振になったり、利益が上げられなくなってくると、どうしても競争に勝つことそのものが目的になってしまって、初心を忘れてしまうことがあります。そうして、不毛な競争にはまってしまったり、新規分野への進出を安易に志向してしまったりして、本来、自分たちは何がやりたかったのかから、離れてしまうことがあります。

少し古い例になりますが、2000年代初頭、家庭用ゲーム機の業界では、マイクロソフトのXboxやソニーのプレイステーションなど、どのメーカーもこぞってゲーム機のスペックを上げて高性能なものを市場に投入しようとしのぎを削っていました。

あなたが売っている商品、今のままでは誰も買ってくれません!

これはこれで、まるで映画のようなビジュアルのゲームで遊びたいという顧客(人)もいるのですから、完全に間違った選択と断ずることはできません。ただし、顧客(お客さん)の中には、シンプルでわかりやすく面白いゲームをやりたい、子供からおじいちゃんまで一緒にゲームを楽しみたい、というニーズも必ずあるはずです。

そんな中、任天堂がシンプルな性能の「Wii」を出しました。操作は簡単で、家族みんなで楽しめるソフトが用意されていました。これは、顧客(世の中の人達)は何のためにゲームをするのか、どのように顧客(その人達)の期待に応えたいのかをしっかり考えられたから世に出せた商品だと思います。これに顧客(その人達)が反応し、世界的に大ヒットしました。

あなたが売っている商品、今のままでは誰も買ってくれません!

このように、一度原点に返ってみる。そうすることで、売り手目線から買い手目線、顧客目線、お客さん目線に転換できるようになるわけです。

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