【2025年3月12日改定版】Coincheck利用規約で利用者側が不利益を被らない為に必ず把握しておくべき項目15点
はじめに
Coincheck(コインチェック)の最新利用規約(2025 年 3 月 12 日改定)は 102 条近いページ分量 があり、暗号資産ビギナーがすべてを精読してリスクを見抜くことは簡単ではありません。そこで本稿では「利用者が不利益を被りやすい/誤解しやすい条項」に的を絞り、
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条文の内容
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想定される具体的なリスク
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2025 年 5 月 27 日時点で取り得る現実的な対策
を順に解説します。
注意すべき 15 条項と読み替えポイント
No. | 該当条項 | 何が問題になりやすいか(要約) |
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1 | 第3・4 条 | KYC/登録拒否・情報変更義務 |
2 | 第5 条 | 外国 PEP/家族の自己申告 |
3 | 第6 条 | メール+パスワード+2FA の管理責任 |
4 | 第7 条 | 手数料・遅延損害金・相殺禁止 |
5 | 第8 条 2〜8 | 誤送金・ハードフォーク・エアドロップの不取扱い |
6 | 第8 条 11 | 口座凍結・没収リスク |
7 | 第10 条 | 取引所現物の注文取消不可・サーキットブレーカー |
8 | 第10 条の2 | 販売所スプレッドと価格急変停止 |
9 | 第10 条の3 | ステーキング報酬は保証外・オプトアウト罠 |
10 | 第11 条 | トラベルルールで送金不可/停止あり |
11 | 第12 条 | 禁止行為と自動口座停止 |
12 | 第13 条 | 予告なしのサービス中断・終了 |
13 | 第16 条 | 登録取消と強制一括売却 |
14 | 第17 条 | 免責条項と賠償上限(手数料1ヶ月分) |
15 | 第19 条 | 規約変更=黙示同意方式 |
以下では各条項を 「条文の意味 → ユーザーの損失シナリオ → 具体的対策」 の順で掘り下げます。
1. KYC/情報更新義務(第3・4 条)
条文の意味
本人確認書類が不十分、電話番号が IP 電話、メールが使い捨て等の場合、登録は拒否され、登録後でも追加資料を出さないと取引停止・抹消になります。さらに住所・職業・年収などが変わったら 「遅滞なく」 自己申告する義務があります。
リスクシナリオ
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引っ越し後に住所変更を忘れた → 新規提出依頼の郵便が不着 → 口座が突然ロック。
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「転職で年収激減」など属性変更を黙っていると、マネロン疑義で入出金保留。
対策
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Coincheck アプリで毎年 1 月・7 月にプロフィール項目をチェック(リマインダー推奨)。
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郵便が届かない恐れがある場合は「転送不要」の簡易書留を自費で受け取って住所実証に使う。
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IP 電話や楽天 Link 番号は避け、必ずキャリア SMS 認証機で登録する。
2. 外国 PEP の自己申告義務(第5 条)
条文の意味
日本以外の政治家や中央銀行役員、その親族は「PEP」に該当し、自己申告しないと凍結対象。
リスク
留学中に国会議員の親族と結婚 → 変更届を出さずに数百万円分の BTC を送金しようとして STOP。
対策
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婚姻・離婚・養子縁組など家族関係が変わったら即申告。
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外国人配偶者がいる場合は「配偶者の親族の肩書」を事前にリストアップ。
3. アカウント管理責任(第6 条)
条文の意味
ID/パスワードが漏れて不正送金があっても、メール+パス+2FA の照合が通れば Coincheck は「有効取引」とみなす。
リスク
フィッシングで 2FA トークンも盗まれ、深夜に ETH 全額流出—返金請求不可。
対策
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2FA は「Google 認証+ハードウェア OTP」の二重化。
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スマホ紛失時は 2FA リセット完了まで「出金制限」を自分で ON。
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パスワードは 1Password 等で 24 文字以上・使い回し禁止。
4. 手数料・遅延損害金(第7 条)
条文の意味
支払いを 1 日でも遅れると年 14.6 % の遅延損害金。さらに利用者は 「相殺禁止」 なので、未使用残高で手数料を勝手に充当できません。
対策
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取引 API を使う場合、毎日 23:00 に残高と未収料金を自動照合。
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手数料一覧は 2025 年 2 月 25 日に改定済みなので最新表を必ず保存。
5. 誤送金・フォーク・エアドロップ不取扱い(第8 条)
条文の意味
Coincheck が扱わないトークンを誤送金した場合「返還請求できない」。ハードフォーク・エアドロップが生じても 取得権なし。
現実にあった例
2024 年の $ARB エアドロップ時、Coincheck 保有者には配布されず苦情が殺到。
対策
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高リスク通貨の入出金は 必ず自社ウォレット経由 にし、取引所へ直接送らない。
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フォーク前後は一時的に資金を Ledger 等コールドへ退避。
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エアドロップ狙いなら「自己管理ウォレット+分散型取引所」を利用。
6. 口座凍結条項(第8 条 11 項)
意味
「犯罪行為に利用された疑い」だけで暗号資産・金銭を凍結できる。明確な説明義務はなし。
対策
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NFT や GameFi など外部送金が多いユーザは、取引目的・送金先 KYC 情報を都度スクリーンショット保存し、疑義照会が来たら即提出。
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生活費まで取引所に置かず、最大でも全資産の 30 % を預託上限とする。
7. 取引所現物取引(第10 条)
注意点
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約定後はキャンセル不可。
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サーキットブレーカー発動で一時中断しても、機会損失は補償なし。
対策
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板薄通貨は 「指値 → IOC」 で約定しなければすぐ発注し直す。
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損切り指値は「板が飛んでも刺さる」水準に余裕を持たせる。
8. 販売所現物取引(第10 条の2)
注意点
相手は Coincheck 自身。スプレッドは相場次第で数%変動し、急変時は注文受付が停止。
対策
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緊急時用に 他社取引所(bitFlyer など)をバックアップ登録。
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スプレッド確認→板取引へ即時切替できる UI ショートカットをブラウザに設定。
9. ステーキングサービス(第10 条の3)
注意点
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報酬の有無・数量は「保証なし」。
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オプトアウトしても保有分を Coincheck がステーキングに使う可能性あり。
対策
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年利・実績が明示されない通貨は 自ステーキング(Lido など)とリターン比較。
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オプトアウトしたら「貸暗号資産サービス」を併用して二重貸出を避ける。
10. トラベルルール対応(第11 条)
最新状況
Coincheck は TRUST プロトコルで Travel Rule を運用。MONA/XRP など一部銘柄は 2025 年 5 月現在 TRUST 非対応のため、bitFlyer へ送金不可事例が続出しています。
リスク
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送付先取引所が TRUST 非加盟 → 送金エラー → 数日ロック。
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Travel Rule 情報(氏名・住所等)の入力ミス → 自動キャンセル。
対策
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送金前に Coincheck FAQ の「対応暗号資産一覧」を必ず確認。
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受取相手が個人ウォレットの場合、「自己宛(Self-Transfer)申告+スクショ提出」で時間短縮。
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繰り返し送金する法人は TRUST 対応取引所(bitFlyer、GMO コインなど)に統一。
11. 禁止事項(第12 条)
落とし穴
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二重譲渡:同じ BTC を他所にも送るリプレイ攻撃的試行。
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過大取引:資産・経験に比して大口取引と判定されると制限。
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情報取得者取引:内部者情報での売買は即アカ停。
対策
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BOT 取引は「注文サイズ/間隔ログ」を 7 年保存し、証明可能に。
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SNS で未確定の上場情報を RT すると「流布」とみなされる恐れ。公式情報以外は拡散しない。
12. サービス停止・終了(第13 条)
意味
サイバー攻撃・火災などで停止した場合、事前連絡なしに全面停止。終了時は指定期限後に自動売却の可能性。
対策
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国内外 2 取引所+セルフカストディの「3 口座原則」で分散。
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停止ニュース用に「Coincheck Status API → Slack 通知」を設定。
13. 登録取消(第16 条)
ハイライト
「社会通念上不適切な言動」を社員に浴びせるだけで解約リスク。解約時は全資産を強制売却して銀行へ払い戻し。
対策
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サポートチャットで感情的発言をしない(ログが残る)。
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万一取消通知を受けたら72 時間以内に資産を即時移管。
14. 免責・賠償上限(第17 条)
ポイント
Coincheck の賠償責任は 「直近 1 か月に支払った手数料の総額」 が上限(重大過失を除く)。ハッキングで 1 億円失っても、月の取引手数料が 1 万円なら賠償は 1 万円。
対策
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取引所リスクは自分の資本管理で吸収する前提で運用。
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長期保有は 51 % 以上をコールドウォレットへ。
15. 規約変更と黙示同意(第19 条)
条文の意味
変更の告知後に取引継続・解約手続を取らなければ 自動同意 とみなされる。
対策
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IFTTT で coincheck.com/info/ に RSS 監視→メール転送。
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重要改定が出たら「改定日 → 解約に要する送金猶予」を逆算し、退避プランを即時策定。
総合チェックリスト(印刷推奨)
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KYC 情報は半年ごとにアップデート確認
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2FA は物理キー併用、スマホ紛失時のリカバリ手順を紙に控える
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暗号資産は コールド 51 %・国内取引所 34 %・海外取引所 15 % を目安に分散
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送金前に Travel Rule 対応状況を FAQ で確認
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取引 API のログを 7 年保管(税務・内部統制・凍結対抗用)
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規約改定 RSS を自動監視し、手数料改定は速やかに台帳更新
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サポートには冷静・丁寧に。暴言は即アカ停止リスク
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フォーク・エアドロップ予告時は必ず自己ウォレットへ退避
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サービス障害アラートを Slack/LINE に自動転送
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年 1 回、家族構成と PEP 該当有無を自己チェック
まとめ
Coincheck の利用規約は「暗号資産交換業者として当然の安全弁」を網羅している一方で、条項のほぼすべてが「一方的な強権発動」を許す設計になっています。
「規約を読まない人ほど損をする」
というネット取引の鉄則は、暗号資産ではさらに色濃く表れます。
本稿で挙げた 15 の注意点と対策を ルーティン化し、証跡を残す。それだけで将来の凍結・損害・機会損失を大幅に減らせます。規約は今後も改定されるため、ユーザー自身が「最後のリスク管理者」 であることを忘れず、定期的なチェックを続けましょう。