AI作成のデジタルアバターによる6時間ライブ配信で9億9,000万円の売上を記録！どうすれば顔出し無しでそんなに売れる？

　2025年6月15日、BaiduのECプラットフォームで実施されたLuo Yonghaoのデジタルアバターによる6時間ライブ配信は、133商品のPRに成功し、1300万回以上の視聴と55百万RMB（約990百万円、1RMB=18円換算）の売上を記録しました。これはAASTOCKSの報道やX上の投稿（Baidu Inc.のX投稿）で確認できます。主に3C（コンピュータ、通信、消費者電子機器）や食品が販売され、デジタルヒューマンライブコマースの新記録を樹立しました。

　このイベントは、Baidu AI Day 2025で紹介された技術の応用例であり、ERNIE 4.5 Turboを基盤としたデジタルアバターのデュアルホスト形式が特徴的でした。X上の投稿（Baidu Inc.のX投稿）では、150%の注文増加が報告されており、視聴者とのリアルタイムインタラクションが成功要因とされています。

ERNIE AIとAIクローンの技術的詳細

　ERNIE AIは、Baiduが開発した大型言語モデルで、2019年から進化を続け、2025年3月にはERNIE 4.5とERNIE X1が公開されました（Baidu Unveils ERNIE 4.5 and Reasoning Model ERNIE X1）。今回のイベントではERNIE 4.5 Turboが使用され、スクリプト生成やリアルタイム対話に活用されました。

　AIクローン（デジタルアバター）は、Luo Yonghaoの外見や声を模倣した仮想キャラクターで、8,300以上の調整された動きと40%がリアルタイム生成される自然な動作を持ちます。これにより、視聴者とのコメント返信やプレゼント企画、共演者とのバンター（軽い冗談交え会話）も可能となり、人間と同等のエンゲージメントを実現しました。

　技術的には、ERNIEモデルがホストのトーンや商品特性、視聴者層に合わせたパーソナライズされたナラティブを生成し、視覚的な動きはマルチモーダル融合技術でリアルタイムに調整されます。このデュアルアバター形式は、Luo YonghaoのアバターとZhu Xiaomoのアバターが共演し、化学反応を再現しました。

商品PRと売上の仕組み

　ライブ配信中の商品PRは、デジタルアバターが商品の特徴を説明し、デモンストレーションを行い、視聴者に購入を促す形で実施されました。プラットフォーム上では、視聴者がリアルタイムで購入リンクをクリック可能で、インタラクティブなコミュニケーションが売上増加を促進しました。具体的には、視聴者からのコメントにAIが即座に反応し、プレゼント企画やQ&Aセッションを通じてエンゲージメントを高めました。

　今回のイベントでは、133商品がPRされ、売上は55百万RMB（約990百万円）に達しました。これは、AIが生成したスクリプトとリアルタイムの双方向性が大きな役割を果たした証拠であり、注文増加150%という結果からもその効果が明らかです。

日本の利用可能性と具体的手順

　日本でもAIデジタルヒューマンライブ配信サービスが利用可能で、ニュウジア（Niusia）やPinPon株式会社が提供しています。ニュウジアは2024年11月20日から「NiumanAIライブコマース」を開始し、24時間365日の運用や90カ国語対応、多言語ライブ配信を可能にしています。PinPonは「PinPonAI」を提供し、TikTok LiveやYouTubeなど多様なプラットフォームに対応。

　利用手順は以下の通りです：

1.提供企業の調査と連絡: ニュウジアやPinPonのウェブサイトを訪れ、問い合わせフォームから連絡。無料トライアルも可能。

2.要件の話し合い: 販売商品、ターゲットオーディエンス、言語対応などを話し合い、カスタムアバターの設定を行います。

3.商品情報とスクリプトの準備: 商品データを登録し、AIが最適化。スクリプトはAIが自動生成。

4.プラットフォーム統合: TikTok、YouTubeなどのライブ配信プラットフォームと統合し、技術的なセットアップを行います。

5.放送と監視: ライブ配信を開始し、パフォーマンスを監視。必要に応じて調整を行います。

　これにより、日本企業もAIデジタルヒューマンを活用したライブコマースを展開可能で、コスト削減やグローバル市場進出が期待されます。

表：AIデジタルヒューマンライブ配信の比較