FinTech(フィンテック)とは何か?




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FinTech(フィンテック)とは何か?

 FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、金融と技術の融合のことを言います。

 金融とテクノロジーの融合が進むことで、金融業界の構造変化を引き起こしながら、新たな金融サービスが次々に生まれ、ユーザーはこれまでにないメリットを享受できるようになります。

 

 現在、実に多岐にわたるFinTech(フィンテック)サービスが生まれつつあります。それでは、FinTech(フィンテック)サービスを大まかに分類して見ていきましょう。

 まず、金融情報をワンストップで見える化するサービスとして、個人向けには「個人資産管理(PFM)」サービス、企業向けにはクラウド型の「会計・経営・業務支援」サービスがあります。

 

 こういった見えるかサービスで明らかになった金融情報を基に、ビッグデータ解析や人口知能(AI)、金融工学といった技術を組み合わせることで、さらに進化した金融サービスが開発されています。

 例えば、資産のポートフォリオを自動的に作成し、個々のユーザーに適した投資を低コストでアドバイスする「資産運用」サービス。事業などの資金調達や個人のローンの借り換えなどを素早く低コストで行う事ができる、様々なタイプの「融資」サービスも急速に広がっています。

 また、FinTech(フィンテック)の進展によって多様な「決済」サービスが生まれ、手数料も下がることで、現金支払いが中心だった社会が急速にキャッシュレス化していくことも予想されています。

 

 金融サービスの周辺では、金融情報とIoT(Internet of Things、モノのインターネット)によって得られた様々なデータが組み合わされることで、これまでにはなかった新しい「保険」サービスや「不動産」サービスが提供されつつあります。

 

 ここまで紹介した新しい金融サービスを安全かつ確実に利用するには、それを支える確かなインフラサービスが必須となります。

 例えば、仮想通貨「ビットコイン」を支える技術として有名な「ブロックチェーン」は、運用が始まった2008年以降、一度も改ざんされず、サービスが停止したこともない信頼性の高さから、電子契約や認証システムに応用できるのではないかと期待されています。

 さらに金融情報のやり取りが活発になることから、これまで以上にセキュリティーの強化が求められます。指紋や静脈、顔や目を使った生体認証や個人の記憶、なぞなぞへの回答などを使った新たな認証サービスも始まっているのです。

 

 ただ、FinTech(フィンテック)は、概念としてはそれほど新しいものではありません。

 もともと金融はテクノロジーによって進化してきた産業です。例えば、以前は通帳と印鑑を持って銀行の窓口に並ばなければ下せなかった預金が、キャッシュディスペンサーやATMの登場により、銀行の窓口が閉まる午後3時を過ぎても下せるようになりました。

 その便利さは、キャッシュディスペンサーやATMという機械の存在を可能にした技術やインフラが整い、FinTech(フィンテック)が前進したことで得られました。

 また、以前なら電車に乗るときには、窓口や自動券売機で切符を購入するのが当たり前でしたが、今では多くの人がSuicaなどの電子マネーを使っています。これも、電子マネーの仕組みがテクノロジーによって整うことで可能になりました。

 

 ただし、FinTech(フィンテック)は、かなり最近になって使われるようになった言葉です。これほどFinTech(フィンテック)という言葉を耳にするようになったのは、国内では2015年のこと。

 その前年の2014年に、FinTech(フィンテック)企業と分類されるスタートアップ(ベンチャー)は、全世界で120億ドルを調達しました(※米アクセンチュアおよびCBインサイツ調べ)。この金額は、それまでの3~5倍の規模に相当します。

 既存の金融サービスがテクノロジーによって大きく変革されることが期待され、注目されるようになったため、その産業に新しい名前がつけられたのです。

 

 では、なぜ近年になってFinTech(フィンテック)が注目され始めたのか。主な背景・理由としては、大きく分けると3つの要因が挙げられるでしょう。

 第1に、技術の改発コストが下がったため。第2に、開発したサービスを普及させるコストが下がったため。特にスマートフォンの普及が鍵となりました。第3に、サービスを使うユーザーの目が肥えてきて、サービスに対する期待が高くなってきたためです。

 

 

FinTech(フィンテック)が注目される”3つの理由”

 まず、技術の開発コストが下がったことについて見ていきましょう。開発コストを押し下げた理由も3つあります。それは、オープンソースソフトウェアの進化、クラウド化、API化の3点です。

 

 最初に、オープンソースソフトウェアの進化について説明します。

 例えば以前なら、ITサービスを開発しようとするなら、開発言語をプロと呼べるレベルまで学習するか、それに習熟した人を雇用して、時間をかけてプログラムを書き、出来上がったプログラムの試験をし、意図したとおりに動くことを確認してから、世に出す必要がありました。

 それには時間がかかり、人の力も必要でした。つまり、新しいサービス開発には通常、多大なコストがかかっていたのです。

 

 しかし今は、プログラムを書く手法自体が簡易になってきています。例えば、ライブラリと呼ばれる、先人たちの作ったプログラムがインターネット上で共有されているので、それらを組み合わせることで、十分な資本を持たない人や企業も、新しいアイデアを手軽に試すことができるようになりました。

 テストも一部は自動化することができ、さらには、同時並行で様々な機能を開発する手法が普及してきています。しかもそのようにして作られるサービスのインターフェースは、以前に比べてかなり洗練されてきています。

 

 開発コストを押し下げた第2の理由は、インフラのクラウド化です。開発したサービスをユーザーに提供し、運用するにはサーバーが必要です。以前ならば、高い料金を支払ってそのサーバーを買ったり借りたりする必要がありました。

 しかし今は、アマゾンウェブサービス(AWS)のように、安価でレンタルができ、しかもすぐにキャパシティーを拡張できるようになりました。そのため、新しいサービスを開始するための初期費用や、サービス運営を行うための費用が大きく下がりました。

 

 第3の理由は、API化の浸透です。APIとはアプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略で、異なるサービスの連携を容易にするための、サービス間の約束事です。

 別々のサービスを開発する人たちが、この約束事に沿って整理されたデータを連携すると、複数のサービスの機能を比較的簡単に組み合わせることが可能となります。

 例えば今、食べログのウェブサイトでお店を調べると、お店の場所については、Googleマップの機能が参照されるようになっています。これは、Googleマップ側が、地図情報をほかのサービス提供事業者が簡単に使えるようにAPIとして提供しているため、可能になっているのです。

 

 以上のオープンソース化、クラウド化、API化が、新しいアイデアを試したり、サービスをテスト的に開発するためのサービス開発コストを押し下げました。

 さらに、そうやって新しく開発されたサービスを普及させるためのコストも大きく下がりました。以前はどんなに素晴らしいサービスを開発しても、それを多くの人に知ってもらい、使ってもらうためには、多くのマーケティングコストが必要でした。

 今のように高速なインターネット回線が普及していなかった時代には、サービス利用のためのアプリケーションは、箱に入れて家電量販店で販売するか、パソコン雑誌の付録CD-ROMに収録してもらうなどの方法しかありませんでした。

 

 しかし最近ではスマートフォンが普及し、サービス利用のためのアプリをiTunesのAppストアやGoogle Playで簡単に、しかも安価に、サービスによっては無料で公開することが可能となりました。サービス自体の開発が以前より簡単になっただけでなく、楽にユーザーに届けることができるようになったのです。

 しかも、ストア内でのユーザー評価が高ければ、SNSなどで爆発的に広がっていくことが日常的になっています。

 

 また、スマートフォンの普及にはもう1つ大きな側面があります。それは、ユーザーがより多く、深いことをもとめるようになってきたことです。例えば、直観的にサービス内容が理解できることやリアルタイム性、インタラクティブ性をユーザーは求めるようになってきました。

 スマートフォンは、従来の携帯端末に比べればはるかに高い密度の情報を、素早い処理能力で、しかもリアルタイムでインタラクティブに提供できるようになりました。このことにより、人間音楽を聞きながらメールを打つ、ニュースアプリを見ながらSNSでの返信をする、といったマルチタスクを行えるようになりました。

 

 スマートフォン上で表示されるプッシュ通知などがそれに拍車をかけるなかで、カナダで行われたある調査によれば、1つの画面を集中して見続けられる集中力は、2000年ごろの12秒から、近年は8秒近くまで下がってきているそうです。ユーザーはより直観的に理解しやすい情報を好むようになってきています。

 こうなると、FinTech(フィンテック)が注目される第3の理由がおのずと生まれてきます。それは、サービスを使う側、ユーザーの変化です。

 

 これも、昔と今とを比べると分かりやすいでしょう。インターネット以前、人は大きな買い物、例えば新しい冷蔵庫を買うとき、店に足を運び、カタログをもらって店頭価格をチェックし、ほかの店にも行って前の店とどちらが安いかを比べていました。

 しかし、今やこういった比較は、カカクコムなどの比較サイトを使えば、自宅にいながらでも電車で移動しながらでも、容易に可能です。

 

■価格.com(http://kakaku.com/)

(650×)価格.com

▲パソコンや家電から、ファッション、食品に至るまで、あらゆる製品・サービスを、販売価格やクチコミ情報、ランキングなどの視点から比較・検討できる

 

 ユーザーは高額な料金を払わなくても、手元のスマートフォンやパソコンで、リアルタイムで簡単に最新の中立な商品情報や価格情報を入手し、それを参考に自分に有利な買い物をしたり、サービスを利用したりできるようになりました。

 しかも、ユーザーが特別なデバイスを持っていたり、パソコンに詳しかったり、検索能力に秀でていたりする必要もありません。誰もが当たり前のようにスマートフォンで、スマートフォンに適したインタフェースを持つサービスを使い、どこにいてもストレスなく最も安く自宅に適した冷蔵庫を探し、買えるようになっています。

 

 スマートフォン上の情報を基に消費者の判断が行われるなかでは、よりシンプルで、人々の悩みを直接解決するサービスが求められるようになってきています。こういった便利さに慣れた目の肥えたユーザーは、金融にも分かりやすさや直観的な納得を求めるようになってきました。

 今、こういったユーザーにとって、金融サービスを選択する基準のうち、便利さ、中立性、情報の透明性といった要素は、従来であれば「好ましい(Want)」だったのが、「必須(Must)」となってきています。

 ユーザーの新しい金融サービスへの期待値の大きさが、FinTech(フィンテック)への注目度を高くしているともいえるでしょう。

 

 

「金融」が特別だったのは過去の話

 サービス開発コストと普及のコストの低下、そしてユーザーの意識の変化は、既に金融以外の世界も大きく変えています。ほかの業界でも既に技術との融合によって業界内の産業構造が大きく変化しており、より便利でコストが低い様々なサービスが生まれてきています。

 金融業界は変化が遅いとよくいわれますが、今後技術との融合により、ユーザーにとって便利な、新しいサービスが次々と生まれてくることは間違いありません。

 ところで、なぜ金融業界は変化に遅いといわれるのでしょうか。それにはもちろん理由があります。

 

 まず、「お金」という非常に大事なものを扱う規制産業であること。さらに、情報漏洩などのミスが特に許されない業界であるため、「セキュリティー」が最優先されることがあります。これは業界の特性上、致し方ないことといえるかもしれません。

 また、ほかの理由としては、ユーザーにとって金融商品や金融サービスはその内容が分かりにくいということも挙げられます。

 冷蔵庫はその目的も選び方も分かりやすい商品です。ユーザーが商品ごとの機能の違いを自分自身で調べ、理解することは、あまり難しいことではありません。

 一方で、ユーザーは冷蔵庫のように簡単に金融商品を選ぶことはできないでしょう。どんな商品があるのか、ある商品と別の商品はどこが違うのか、自分にはどれが適しているのかが、極めて分かりにくいからです。

 

 このような分かりにくい商品は、ネット販売との相性があまり良くありません。ユーザーは失敗を避けるため、十分な知識を持った人から、十分な説明を受けてから買いたいと考えます。長くて難解な商品説明や契約書を自力で理解し、比較するよりは、プロに相談することを求めるのです。

 ただし、これは手間も時間もかかり、面倒なことでもあるので、結局はプロに相談することもなく、将来の大事なお金の問題にもかかわらず、見て見ぬ振りをしている人も多くいると思われます。

 冷蔵庫が故障したままの生活は困難ですが、新しい金融商品を買わなくても、目下のところは、自分の口座に給与が振り込まれ続けていて、それを近所のATMで引き出すことができさえすれば、将来的には大きな問題になるかもしれませんが、当面は困らないからです。

 

 金融広報中央委員会の調査によれば、日本のユーザーが金融機関を選ぶ際の理由としては、「近所にATMがあること」が圧倒的な首位となっています。裏を返せば、ユーザーはATMの立地以外の要素で、金融機関の違いを見出していません。

 そして金融商品を買う場合にも、ATMをきっかけに口座を開設した金融機関から購入する形が大半です。

 しかし本来は、冷蔵庫選びよりも、金融商品やサービスを選ぶことの方が大きく人生を左右するはずですから、それがカカクコムで比較するように、Amazon(アマゾン)で買い物をするように容易にできるようになれば、ユーザーはより適したサービスを能動的に選んでいくようになります。

 今後、ユーザーの行動が劇的に変化していくなかで、従来のやり方だけでは、金融機関はユーザーを獲得できなくなっていくでしょう。

 

 

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[最終更新日]2016/07/28