FinTech(フィンテック)が持つ”未来を明るくすることができる大きな可能性”~お金の不安が無くなる世界の作り方~




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FinTech(フィンテック)が持つ”未来を明るくすることができる大きな可能性”~お金の不安が無くなる世界の作り方~

 前項では、2021年の金融の姿について取り上げてみましたが、最後にさらに先の未来に思いをはせてみたいと思います。未来がどうなるかは誰にもわかりませんが、テクノロジーやFinTech(フィンテック)の大きな流れは、次の3点をもたらすように思います。

 

 

「オンライン化」と「自動化」がさらに進み、”ロボットが働く”時代

 金融は、社会のインフラとして人々の生活を支えていますが、テクノロジーは金融だけにとどまらず、国家のインフラ自体にも大きな変革を起こしています。昨今、実に未来的であると注目されている国が、バルト海に面した小国、エストニアです。

 離島が多く、人工も少ないエストニアでは、1990年代半ばから本人確認手法として、メールアドレスやID番号が割り当てられ、効率的な社会インフラや行政の運営を目指した電子化が行われています。

 

 複数の所得がある場合でも、名寄せの処理は簡単に行われます。さらに、ID番号と銀行口座が連携し、X-Roadと呼ばれる統合的なデータベースに各種情報が集約されます。

 税務申告時にはこのデータベースを使って課税処理が自動で行われるため、エストニアからは税理士の仕事が消えてしまったことも有名です。

 そのほかにも、本人確認のベースが電子化されていることから、投票は世界のどこにいてもスマートフォンから行うことができます。それだけでなく、ほぼすべての行動においてペーパーレス化が徹底されており、電子署名も用いられることから、ほとんどの取引が電子的に参照可能となっています。

 

 すべての手続きが電子化されていることで、病院にかかる際も必要な情報はIDカードさえあれば十分ですし、会社ですら30分で作ることができるなど、手続きが可能な限りオンライン化・効率化された世界が既に実現しています。

 ここまで効率化された世界であれば、手続きの煩わしさがなくなり、より生産性の高い、付加価値の高いことに集中できるはずです。

 

 このような行政と社会のあり方は、日常的な処理の多くがオンライン化・自動化され、本人確認手段も確実かつ簡単となるであろう未来のFinTech(フィンテック)の世界観ともシンクロします。

 様々な手続きや確認にコストや手間がかかる社会では、本来、行われるべき付加価値の高い取引や意思決定が後回しにされることになります。その結果、必要な意思決定が行われず据え置かれ、生産性も向上せず、経済成長が抑制されてしまいます。

 このような問題は、テクノロジーの力で解決していくことが可能です。迅速で正しい意思決定を行うためのデータを自動で算出するクラウドツールを使ったり、その支払い手段までもが用意されることで、同じ時間やお金を使って、より多くの、生産性が高い、付加価値が高い業務を実現できるようになるでしょう。

 さらには、今後ロボットが車を運転してくれたり、炊事や洗濯をしてくれたりと前項でも指摘したように、人が仕事をあまりする必要がなくなり、趣味に使える時間が多くなっていくのかもしれません。

 

 

「ポスト資本主義」と「シェアリングエコノミー」

 今後の世界を考えていくに当たり、2つのキーワードが浮かび上がってきます。

 1つは、「ポスト資本主義」です。これまでの資本主義社会では、現金や不動産といったキャピタルアセット(資本的資産)を多く持つ者が、より豊かになっていく、お金がお金を産むという社会でした。

 しかし昨今、資本主義社会の弊害が様々なところで散見されるようになってきています。

 例えば、米国ではほんの一部の富裕層があまりに多くの資産を保有しすぎているとして、「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」のような活動が生まれてきました。

 

 現時点で、資本主義に勝る、確固たるコンセプトは確率されていません。

 ただ、今まで価値交換のツールとして最も適していた、そして資本主義の根本を支えてきた「お金」という概念が、インターネットやその他のテクノロジーによって多様な手段に代替されていくことを考えると、ポスト資本主義世界の登場はそう遠くないかもしれません。

 

 今までは、お金というものだけでしか、その人やモノがもつ本質的価値を算定できませんでしたが、例えば、SNSで人間関係の可視化が進んだ今、誰とつながっているか、人的ネットワークの質や量を資産として評価するソーシャルアセット(社会的資産)の価値もある程度算定できるようになりました。

 さらに、交換媒体としてのツールも多様化してきています。「お金、貨幣」は管理通貨制度の下、「見た目は紙ペラにすぎない1万円札ですが、1万円の価値があることを保証しますよ」と国が保証してくれていることで価値が担保されています。

 ところが、最近になって、企業が発行するポイントであったり、ビットコインであったりと、お金の機能を代替するようなものが誕生してきました。

 さらにビットコインには、そもそも中央銀行のような中央機関すら存在せず、通貨の発行や取引はすべてP2Pネットワーク上で行われています。

 

 このように、資本主義の根幹を支え圧倒的なパワーを持っていた「お金」が、多様化していくことにより、社会のあり方も変わってくるでしょう。

 もう1つのキーワードは、「シェアリングエコノミー」です。

 シェアリングエコノミーの代表選手としてよく取り上げられる、宿泊施設や民泊の貸し出しサービス、米Airbnb(エアービーアンドビー)は時価総額が約3兆円、自動車配車サービス「Uber(ウーバー)」を運営する米ウーバーテクノロジーズも約7兆円(※いずれも2015年中の資金調達時)と、既に大きな評価を得ています。

 

■Uber(ウーバー)

・Webサイト(https://www.uber.com/ja/)

(650×)Uber①

 

・App Store

 

・Google Play

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Price: Free
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 市場全体の規模も、2013年は約150億ドル(約1兆8,000億円)でしたが、2016年には10兆円規模、2025年には40兆円以上に拡大するともいわれています。

 

 

シェアリングエコノミーによって加速する、「所有」から「共有」の時代へ

 シェアリングエコノミーは、今までの資本主義時代の中心的な概念である「所有」に代わって「共有」という概念をベースにしています。活用されていない資産を、必要とする人に直接、低コストで提供・共有する。この考え方が、お金にも広がっていくでしょう。

 さらに注目すべき点は、ユーザーのレビューなどで今までお金でしか表現することが難しかった「信用の見える化」という現象が起こっています。

 

 「複数の人間の信用を共有する」という概念が生み出したビジネスモデルを見てみましょう。2006年に、ムハマド・ユヌス氏とともにノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行は、「マイクロクレジット」と呼ばれる融資のモデルを活用し、農村部における貧困脱却に貢献したことで有名になりました。

 マイクロクレジットで融資を受けたい借り手はまず、5人からなるグループを作ることが求められ、それぞれがほかの4人の返済を助ける義務を負うものとしています。

 また、「16の決意」と呼ばれる生活向上に向けた価値観を広めることで、借りて全体の生活改善を促し、返済能力を高めることに成功しました。

 この取り組みの背景にあるのは、複数の人間の「共有された信用」です。顔の見える関係の中での信用力は、お世話になっている人に迷惑をかけたくないという思いによって、1人の個人としての信用力よりも高まる傾向があります。

 

 このようなモデルは、実は日本にも、古くから互助的な仕組みの金融が存在しました。鎌倉時代に生まれたとされる無尽や頼母子で、地域金融機関のルーツの1つにもなっています。

 個人としては信用力をあまりにもたないメンバーが集まってお金を融通し合うことで、事業のための資材や、大学への入学金などを工面していました。

 FinTech(フィンテック)の世界でも、このような「信用の共有型」とも言われる形で様々なサービスが行われています。米国のVouch(バウチ)は、複数の知人からの保証を条件とすることで、金利を下げることができるノンバンクです。

 ソーシャル上での友人関係から、シームレスな保証を依頼できる点が特徴的です。米国でもまだ根深く存在している貧困問題に対して、例えばVouch(バウチ)を利用することにより、通勤用の車を購入したり、生活の立て直しを図ったりといった解決の一助となるものと期待されています。

 

 

「所有から共有」、「信用の見える化」が進むと生まれる、”お金以外で価値の交換”が可能となる未来

 血液が健全に身体中に行き届くことは、人の健康を保つ上でとても重要です。同様に、社会にとっての血液は、現状ではお金に当たります。

 個人や企業、公共団体などの経済活動は、お金が必要なところに必要な時に行き届くことによって健全に行われ、さらなる経済成長へとつながっていきます。FinTech(フィンテック)は様々なサービスを通して、この「お金の流れ」をより効率的かつ多様にしていくともいえるでしょう。

 一方で、未来を想像すると、ポスト資本主義、シェアリングエコノミーの「所有から共有」、「信用の見える化」などの流れが進むと、お金に加えて、今後違う種類の価値交換ツールが誕生してきそうです。

 

 資本主義社会において、お金というものの便益性があまりに優れ、かつ、お金のもつパワーがあまりに強かったため、本来は交換手段、ツールに過ぎなかったはずの「お金」が、「そのお金を稼ぐこと、貯めること」が目的となるようになっていきました。

 こうした「手段の目的化」が起こったことにより、実体経済からかけ離れた金融商品が数多く誕生し、「お金がお金を生む」ことによって実体経済よりはるかに大きな金融市場が誕生しました。

 これが時に行き過ぎた状態になると、リーマンショックの時のように、世界的な金融危機を引き起こしてしまいます。これも、お金が持つパワーが引き起こした、いわば必然の出来事といえるかもしれません。

 ただ、前述したように、お金はただの価値交換のツールの1つに過ぎません。

 それにもかかわらず、お金を持っていないだけで、その人が選択できるはずであった人生の可能性が狭められたり、お金をもっているかどうか、稼ぐことができるかどうかだけで、その人の評価が決められてしまう事は本末転倒ですし、それだけの価値判断しかもたない世界は、どこか窮屈な世界のように思えます。

 

 たとえお金を稼ぐことが得意でなくとも、社会に大きな貢献をし、人々に喜ばれる人は世の中に数多く存在します。一方で、お金のためだけに意に反した仕事を選ぶ、あるいは、お金を理由に夢を諦める、といった決断を下している人は、今この瞬間も、世界中に少なくないでしょう。

 ポスト資本主義、シェアリングエコノミーにおける共有や信用の概念、さらにはクラウド上に集まったあらゆる情報は、FinTech(フィンテック)がもたらす新たな可能性と組み合わさることで、お金と血液の循環をより効率化、多様化していくだけでなく、お金以外の価値媒介ツールを誕生させることによって人々の将来の選択肢を広げ、より多くの夢をかなえていくことにつながります。

 そのようななかで、人々はより自分達が価値を感じることができる活動に、より自分が社会や家族のために役立てる事に、時間を割けるようになるのではないでしょうか。

 このようにFinTech(フィンテック)は、人間らしい生き方を可能にする社会づくりの一翼を担える存在であり、未来を明るくすることができる大きな可能性を秘めたものなのです。

 

 

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